切羽(読み)セッパ

デジタル大辞泉 「切羽」の意味・読み・例文・類語

せっ‐ぱ【切羽】

刀のつば表裏が、それぞれつかさやに接する部分に添える薄い金具。
差し迫っていること。また、その場面。急場。どたん場。
「生きる死ぬるの―ぞと」〈浄・五枚羽子板〉

きり‐は【切(り)羽/切(り)端】

鉱石採掘やトンネル工事で、掘削が行われる現場。切り場。

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精選版 日本国語大辞典 「切羽」の意味・読み・例文・類語

せっ‐ぱ【切羽】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 刀身の鎺(はばき)の受け金。柄(つか)・鞘(さや)外周にならって楕円形に作り、縁に刻み目を入れるのをふつうとし、刻切羽(きざみせっぱ)・佐佐良切羽(ささらせっぱ)などの名称がある。太刀類の大形の鍔(つば)の際は、別に鍔にならった大形の切羽を加えて、これを大切羽(おおせっぱ)という。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. 切羽<b>①</b>
      切羽
    2. [初出の実例]「むね押ひらけば九寸五ぶ肝先(きもさき)にせっぱ迄、刺しとをしてぞゐたりける」(出典:浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)中)
  3. さし迫った場合。窮迫した状態。どたん場。急場。
    1. [初出の実例]「いきるしぬるのせっぱぞと心もをくれ手もふるひ」(出典:浄瑠璃・雪女五枚羽子板(1708)厄払ひ)
  4. ( ━する ) ひざづめ談判をすること。詰め開きすること。切羽鎺(せっぱはばき)
    1. [初出の実例]「きさが懐妊をもたせかける切破(セッハ)の只中と、やうやうとがてんして聞ゐるに」(出典:浮世草子・手代袖算盤(1713)二)

きり‐は【切羽】

  1. 〘 名詞 〙 トンネル工事、鉱石の採掘現場などで、掘り進めている坑道先端切場(きりば)
    1. [初出の実例]「ダイナマイトをかけた坑道は働いている間じゅう甘ずっぱい空気を切羽(キリハ)に匍わせているが」(出典:地の群れ(1963)〈井上光晴〉八)

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百科事典マイペディア 「切羽」の意味・わかりやすい解説

切羽【きりは】

炭坑鉱山坑道掘進や採掘などの作業を行う坑内の現場。
→関連項目カッペ採炭鉱山コールカッター採鉱先山炭鉱ホーベル

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改訂新版 世界大百科事典 「切羽」の意味・わかりやすい解説

切羽 (きりは)
working place

古くから使われている鉱山用語の一つ。採掘作業の行われている場所を指す。岩石,鉱石の〈切り場〉からきているものと考えられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「切羽」の意味・わかりやすい解説

切羽
きりは
stope; working face

炭鉱や鉱山において採掘や坑道掘進する坑内の現場,また掘進方向における掘削面をいう。特に掘進切羽の最先部を引立て,慣用的に延先,切詰めと呼ぶ。日本の鉱山は地質上断層,褶曲が多く,鉱脈も薄いので切羽は小規模となりがちである。切羽の支柱も木柱が用いられていたが,近年は鉄柱,カッペ (→カッペ採炭 ) などが使われている。特に炭鉱経営では切羽の数は減じ,長さを 100~200mとして,高度機械化採炭を実行することが必要とされている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「切羽」の意味・わかりやすい解説

切羽
きりは

鉱山などで採掘作業が行われる場所をいう。切端も同じ。岩石、鉱石、石炭などの採掘を行う所は採掘切羽、坑道を掘り進む所は掘進切羽ともいう。

[房村信雄]

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世界大百科事典(旧版)内の切羽の言及

【払い】より

…石炭鉱山で用いられることが多い語で,採掘場のこと。石炭の採掘面のみのごく狭い部分をいうことも多い。岩石や石炭を側方へ払い落とすところからきた語であるが,発破のことをさす場合や,岩石を払い落とすように働く爆破孔を呼ぶこともある。【山口 梅太郎】…

【鉱山】より

…そのために,鉱体の形状や母岩の性質に応じて,鉱石採取の順序や坑木の取扱い,使用する機械類を選ぶ必要がある。坑内で採掘作業が行われる場所を切羽(きりは)というが,ここでは削岩,爆破,鉱石積込み,支柱立て,採掘跡充てんといった作業が行われ,削岩員,支柱員,火薬係といった鉱員たちが,いろいろな機械を操作して働いている。さらに切羽の後方では,鉱石・資材の運搬,坑内環境の維持のための通気,排水等の作業が行われる。…

【採鉱】より

…採掘の方法はマムート鉱山と同様の階段採掘法であるが,ベンチの高さは15mある。孔径10.5cm,深さ17.5mの爆破孔で爆破し,これを車体の前部にショベルのついた積込機で32~46t容量のトラックに積み込んで,切羽の要所に作られた立坑へ運搬する。立坑に落とし込まれた石灰石は立坑底のクラッシャーで破砕され,ベルトコンベヤで坑外の貯鉱場へと引き出される。…

※「切羽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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