日本大百科全書(ニッポニカ) 「塚本虎二」の意味・わかりやすい解説
塚本虎二
つかもととらじ
(1885―1973)
無教会主義キリスト教の伝道者。明治18年福岡県に生まれる。東京帝国大学時代に内村鑑三(うちむらかんぞう)門下となり、農商務省勤務を経て、1919年(大正8)独立伝道者となる。あまりに激しい教会批判が原因で内村と衝突し決別したが、内村亡きあとは無教会主義運動の代表的人物となった。個人月刊誌『聖書知識』を発行し、豊富な語学知識を駆使した聖書講義は多くの青年を集めた。信仰と世俗の峻厳(しゅんげん)な分離を主張したが、反面、日本的キリスト教を標榜(ひょうぼう)し、太平洋戦争に際しては愛国的立場をとった。主著に『福音書(ふくいんしょ)異同一覧』(1951)、訳書に『福音書』(1963)がある。
[金井新二 2018年3月19日]