増沢村(読み)ますざわむら

日本歴史地名大系 「増沢村」の解説

増沢村
ますざわむら

[現在地名]江刺市岩谷堂いわやどう

片岡かたおか村の北東に位置し、北上高地西端の丘陵と、村の中央を南西流する人首ひとかべ川が形成した盆地状平野に立地。人首川に注ぐ小河川の形成した沢地形も発達している。東境に万松寺ばんしようじ(二二五メートル)があり、西麓の万松寺付近の経塚から、平安時代とみられる須恵器質経壺が出土している。大般若経巻第三〇中尊寺金銀字経奥書(高野山蔵)に「元永二年己亥五月廿五日庚午午時許於奥州江刺郡益沢院内書之畢 執筆修行僧尭暹 大檀主藤原清衡 北方平氏」とみえ、中尊寺造営にあたり、元永二年(一一一九)に奉納する経典の写経が行われた益沢ますざわ院は当地内に擬定されており、村名は益沢院に由来するともいう。

元和八年(一六二二)岩谷堂いわやどうが仙台藩二代藩主伊達忠宗の御部屋領となった時、盛岡藩領との藩境防備のために栗原くりはら三迫さんのはさま(現宮城県栗原郡)にいた伊達氏譜代の足軽一一七名が、忠宗御部屋預として岩谷堂町に移住した(江刺市史)


増沢村
ますざわむら

[現在地名]藤沢町増沢

新沼にいぬま村の北西にあり、ほぼ中央を増沢川が西流して北西端で千厩せんまや川に注ぐ。「和名抄」磐井郡沙沢ますざわ郷の遺称地とする説もある。「封内風土記」には古くは米沢まいざわといったが、沢に鱒魚が生息していたことから鱒沢ますざわと改め、さらに増沢と記すようになったとある。元和元年(一六一五)五月七日の伊達政宗知行宛行状写(陸奥史叢)に増沢村とみえ、同所のうち五千刈を大坂夏の陣での勲功の賞として小野寺惣九郎に宛行うとある。正保郷帳では田四一貫一四五文・畑一二貫七四九文、ほかに新田三三文がある。「封内風土記」の家数約八七、本沢ほんさわ久手沢きゆうてさわ九十邑くじゆうむら館石たていし宇南田うなだ鳴石なりいしの小名をあげる。


増沢村
ますざわむら

[現在地名]合川町増沢

北流する阿仁あに川の下流域、流路が大きく東に半円を描く内側に位置する。南にある木戸石きどいし村は対岸。正保四年(一六四七)の出羽一国絵図には悪摩沢村九〇石とみえるが、享保一四年(一七二九)の秋田郡御黒印吟味覚書(秋田県庁蔵)には「正保悪間沢村(中略)古ハ悪摩沢村、宝暦享保増沢村」とあり、「六郡郡邑記」の寛文一二年(一六七二)に増沢村と改名したとの記事と合致する。


増沢村
ますざわむら

[現在地名]大内町岩野目沢いわのめざわ 増沢

いも川上流、左岸段丘上の小村で、河岸段丘上の畑から縄文晩期の土器片のほか、黒曜石の石器が発見された。対岸は楢淵ならぶち村。

寛永二年(一六二五)の油利之内修理大夫様御知行御検地帳免定之目録写に、村高二六石八斗四升九合、納米二一石四斗七升九合、免八ツとある。亀田領内でも高い免であったため、同四年打直検地が行われ、新高三〇石九斗一升一合、納米一三石九斗一升、免四ツ五分に改められた(油利新沢ノ内川池八ケ所打直免定之覚)。正保三年(一六四六)の出羽国油利郡内高目録(秋田県庁蔵)に高五〇石二斗七升、うち畑は七斗三升とあり、新開が徐々に進められていた。

元禄年間(一六八八―一七〇四)までは独立村であったが、その後岩野目沢村の支郷となり(「御巡見様御案内ニ付留書覚印牒」大内町文化財資料)、肝煎も置かれていない(「御領中村名帳及肝煎名」下川大内村誌)


増沢村
ますざわむら

[現在地名]小国町はら

渋海しぶみ川左岸に合流する増沢川の下流に立地。小国西組に属する。口碑によると山野田やまのた村が原村との境界監視のため設けた村というが、近世は原村の枝村。正保国絵図に高五〇石余。天和三年(一六八三)の検地帳写(岡村政一氏蔵)によると、耕地は地字鳥越・宮田・よつぜん町・たひらなどにあり、屋敷持は三人。


増沢村
ますざわむら

[現在地名]中郷村岡沢おかざわ

文政三年(一八二〇)の頸城郡細見絵図によれば、西四ッ屋にしよつや新田・岡沢村西菅沼にしすがぬま新田・両善寺りようぜんじ(現新井市)に囲まれた辺りに記される。天和三年郷帳に村名があり、高一〇石七斗余、元禄郷帳では増沢新田と記し、岡沢村枝郷とある。


増沢村
ますざわむら

[現在地名]上越市増沢

大淵おおぶち村の南、桑取くわとり川の谷に位置。正保国絵図によれば高八五石余。天和三年郷帳では九〇石六斗余。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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