六訂版 家庭医学大全科 「壊疽性筋膜炎」の解説
壊疽性筋膜炎
えそせいきんまくえん
Necrotizing fasciitis
(直腸・肛門の病気)
どんな病気か
半数は糖尿病の人に発症します。50~70代によく起こり、男女比は25対1と圧倒的に男性に多くみられます。
死亡率は10%ほどです。
原因は何か
細菌が皮下組織に進展し、肛門周囲、陰嚢・睾丸、会陰・大腿部の筋膜や筋肉内で膿汁の貯留が起こり、腐敗ガス・毒素を産生して組織が腐ることが原因です。
肛門周囲膿瘍病気を契機とするものが全体の約半数を占めます。そのほか、直腸がんの
症状の現れ方
全身症状では高熱、ショック症状があり、局所所見では肛門や陰嚢周囲に発赤、
会陰部を中心とする時は外攻型、後腹膜・腹腔内に進展するものを内攻型といいます。
検査と診断
腹部単純X線写真やCTで会陰、大腿、
この病気は、体表に沿って炎症が拡大する外攻型と、
治療の方法
ポイントはまず敗血症、細菌性ショック、高血糖に対する全身療法を行います。局所は、膿汁のたまっている部位を徹底的に切開・開放して洗浄し、過酸化水素(オキシドール)やポビドンヨード(イソジン)で消毒します。筋膜下の膿汁も排出し、筋肉を露出させ、十分に空気にさらします。後腹膜に進展する内攻型では開腹術も必要です。
抗生剤も腐敗菌に有効なものを選びます。特殊な治療では、エンドトキシン吸着療法や
病気に気づいたらどうする
保存的治療の選択肢はありません。一刻も早く病態をつかみ、徹底的に手術することが生存率を上げます。救急医療として1秒を争うので、救急車ですぐに病院へ行ってください。
松田 保秀
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報