ある一定の期間を経過した集団について、その時点で生存している者の割合を表したもの。とくにがんにおいて、経過の見込みや治療による効果を示す重要な指標となる。
がん患者の生存率について言及するときには、対象者と同じ性・年齢分布をもつ日本人の期待生存確率で割った相対生存率を用いている。診断技術や治療の進歩により生存率は年々向上しつつある。
経過や予後の見通しを示す生存率以外の指標として、再発や転移がない状態で存命した割合を「無増悪(ぞうあく)生存率」として用いることもある。乳がんなどでは治療後長期間経過してから再発がみられることもあり、継続治療やフォローアップの方針の検討に用いられる。
[渡邊清高 2018年1月19日]
部位による生存率の違いやがんの治療成績を表す指標として、しばしば用いられるのが5年生存率である。がんの種類や比較の目的に応じて、1年、2年、3年、10年生存率などの指標も用いられる。
2006~2008年(平成18~20)にがんと診断された人の5年相対生存率は62.1%(男性59.1%、女性66.0%)であった。部位別では、皮膚、乳房、子宮、前立腺(せん)、甲状腺が高く、食道、肝臓、肺、胆嚢(たんのう)・胆管、膵臓(すいぞう)、脳・中枢神経系、多発性骨髄腫(こつずいしゅ)、白血病は低い。10年相対生存率においても、部位別には5年相対生存率と同様の傾向がみられた。小児がん(0~14歳)の10年相対生存率は男性73.2%、女性79.3%、いわゆるAYA世代(adolescence and young adult、15~29歳)では男性66.0%、女性75.3%であった(データ出典:国立がん研究センターがん対策情報センター)。
[渡邊清高 2018年1月19日]
診断から一定年数生存している者の集団についての、その後の生存率(サバイバー生存率)は、治療後の経過の目安として用いられる。胃、大腸、膵臓、肺がんでは、診断からの年数が経過するにつれて5年相対生存率は高くなる。比較的生存率が低い膵臓がん、肺がんでも、診断から5年後に生存している者(5年後サバイバー)の5年相対生存率は80%近い。これは、一定期間存命が得られた場合には、その後の経過がよいことを表している。一方、肝臓がんでは診断からの年数経過による変化は少なく、5年後サバイバーの5年相対生存率は40%程度である(データ出典:国立がん研究センターがん対策情報センター)。
[渡邊清高 2018年1月19日]
出典 みんなの生命保険アドバイザー保険基礎用語集について 情報
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