外交販売(読み)がいこうはんばい(英語表記)traveling sales

精選版 日本国語大辞典 「外交販売」の意味・読み・例文・類語

がいこう‐はんばいグヮイカウ‥【外交販売】

  1. 〘 名詞 〙 外交員家庭を訪問し、直接商品を売ること。外販
    1. [初出の実例]「遊戯場、商社、弁護士事務所、倉庫係、人夫、荷役、夜警、外交販売、広告取り。思いだすかぎりでも、私はこうした職業についてみた」(出典:円形劇場から(1970)〈辻邦生〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「外交販売」の意味・わかりやすい解説

外交販売
がいこうはんばい
traveling sales

セールスマン(外交販売員)が顧客を訪問し、直接勧誘によって商品を販売する方法。訪問販売ともいう。戸別訪問、直接勧誘の点では行商(ぎょうしょう)と同じであるが、行商が現品を持参し販売するのに対し、外交販売では見本やカタログを持参し、受注した商品は別送するのが普通である。外交販売は、対面勧誘によって潜在需要を顕在化できる長所があるが、訪問と勧誘の努力が販売成果に直結しない短所がある。そこで外交販売を効果的にするには、セールスマンの選抜訓練を改善するとともに、報酬制度にくふうを凝らすことが必要になる。また、商品の内容や価格に応じて、訪問する顧客の地域や階層を事前によく選別しておき、可能性の高い顧客に重点を置いた訪問をすることが有効である。

 外交販売の拡大とともに種々のトラブルが多発するようになったため、各種の対策が講じられるようになった。その一つは法的規制であり、1976年(昭和51)に訪問販売法(現、特定商取引法)が制定され、相手方への業者名、商品種類の明示、身分証明書の呈示、売買成立時の契約内容記載書面の交付、クーリング・オフ制度など、購入者の保護が成文化された。もう一つは業界自主規制であり、悪質セールスマンを追放して取引を公正にするため、訪問販売協会によるセールスマンの試験を実施し、合格者には登録証を発行している。こうした訪問販売協会の活動は、特定商取引法によって保証されている。高度経済成長期以後、専業主婦の減少、核家族化、IT(情報技術)の進歩等の環境変化が顕著になるとともに、外交販売の形態は変化し、販売方法としての比重は低下しつつある。

[森本三男]

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