日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
大学の運営に関する臨時措置法
だいがくのうんえいにかんするりんじそちほう
1960年代後半に全国的に吹き荒れた、いわゆる大学紛争に対処するために制定された法律。昭和44年法律第70号。すなわち、「大学紛争が生じている大学によるその自主的な収拾のための努力をたすけることを主眼としてその運営に関し緊急に講ずべき措置を定め」(1条)たものである。5年以内に廃止する(附則5)という時限立法であったため、1974年(昭和49)自動的に失効した。本則14か条、附則6項からなる。主要な規定内容としては、学長等の責務(3条)、大学紛争の報告(4条)、文部大臣の勧告(5条)、運営機関等の特例(6条)、教育等の休止及び停止(7条)、教育等の停止に伴う効果(8条)などがある。国立大学を直接の対象としながらも、公立・私立大学にも準用された。
これまでにも大学の管理運営については、たとえば「国立大学運営法案」(1963年)など各種の法案が登場したが、いずれも立法化には至らなかった。本法の立法化の過程においても、世論は大きく割れ、とくに「大学の自治」との関連でその当否が激しく争われた。なお本法は5年間にわたる施行期間中、現実には、一度も適用されることはなかった。ただ本法施行後いわゆる紛争校の数は激減し、その存在が直接あるいは間接に紛争の鎮静化に大きな影響を与えたことは否めない。
[結城 忠]