大刀(読み)だいとう

精選版 日本国語大辞典 「大刀」の意味・読み・例文・類語

だい‐とう ‥タウ【大刀】

〘名〙
① 刀の長大なもの。
史記抄(1477)一〇「日本には一尺八寸と云て大刀に云たぞ」
打刀(うちがたな)の大きなもの。
近世武士佩用の大小二刀の小刀に対して、大きい方の刀の呼称
真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝九六「大刀の目釘を霑し、遠く様子を伺って」

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デジタル大辞泉 「大刀」の意味・読み・例文・類語

だい‐とう〔‐タウ〕【大刀】

大きな刀。太刀たち
武士が差した大小2本の刀のうち、大きいほうの刀。
[類語]けんつるぎ刀剣太刀大刀たち名刀宝刀軍刀牛刀日本刀青竜刀サーベル銃剣手裏剣真剣小刀しょうとう短刀懐刀ふところがたな懐剣脇差し小柄匕首あいくちどす人斬り包丁快刀業物木刀木剣木太刀竹光長刀なぎなた

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大刀」の意味・わかりやすい解説

大刀
たち

古墳時代から平安時代中ごろまでの刀。『日本釈名(にほんしゃくみょう)』には、「たつなり、物をたちきるなり」とその語意を記しているが、太刀・横刀たちといい、劔・剣もたちと読む場合がある。また「剣(つるぎ)太刀」のことばが古くからあり、厳密な区別には問題も残るが、一般的には平安中期ごろ鎬造湾刀(しのぎづくりわんとう)様式が完成する以前の直刀(ちょくとう)を「大刀」と記し、以降の外反刀(そとぞりかたな)(太刀)と区別している。両者形態、携帯法、使用法を異にする。大刀は柄頭(つかがしら)の形で環頭(かんとう)大刀、頭椎(かぶつち)大刀、方頭(ほうとう)大刀、圭頭(けいとう)大刀、円頭大刀、鶏冠大刀などと名づけている。また刀装の様式から金銀鈿荘唐(でんそうから)大刀、金鈿荘唐様大刀、銅漆作(どうしつづくり)大刀、黒作(くろづくり)大刀などの名称が『東大寺献物帳』にみえている。現存例としては、7世紀(飛鳥(あすか)時代)制作の大阪・四天王寺蔵「丙子椒林剣(へいししょうりんけん)」「七星剣(しちせいけん)」、9世紀前期(平安前期)の茨城県鹿島(かしま)神宮神宝「韴霊剣(ふつのみたまのつるぎ)」(以上国宝)が知られている。

 ちなみに「大刀」と記される直刀のうち、4世紀から7世紀ころまでのものは平造(ひらづくり)の扁刃(かたは)(片刃)で、7世紀以降新しく中国より伝えられた様式は切刃造(きりはづくり)大刀となる。

[小笠原信夫]


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世界大百科事典 第2版 「大刀」の意味・わかりやすい解説

たち【大刀】

長大な刀。横刀とも書く。〈たち〉は〈断ち〉の意味という。大刀,横刀は記紀の用字であって,小刀,刀子と書く〈かたな〉と対比して用いた。《日本書紀》天智天皇3年(664)2月条に〈大氏の氏上には大刀(たち)を賜う。小氏の氏上には小刀(かたな)を賜う〉とあるのは,その例である。しかし,一方では大刀と書いて〈つるぎ〉と読むこともあって,記紀では大刀と剣との形の区別は厳密でない。また,古墳時代から奈良時代までの,主として直刀に属するものを〈大刀〉と書き,平安時代以降の外反り(そとぞり)刀を〈太刀〉の文字であらわすのが習慣であるが,考古学用語としては,古墳時代の内反りの素環頭(そかんとう)大刀も,便宜上〈大刀〉と書いている。

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普及版 字通 「大刀」の読み・字形・画数・意味

【大刀】だいとう

大たち。

字通「大」の項目を見る

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世界大百科事典内の大刀の言及

【青竜刀】より

…人を切るときにはその重力と勢いによる。しかし中国では,通常青竜刀といえばこれと同種の長刀(なぎなた)をさし,柄の短いこの種の軍刀は〈大刀〉という。【中野 輝雄】。…

【太刀】より

…鞘(さや)に足金物(あしがなもの)を設け,帯取(おびとり)の緒をつけて,刃を下に向けて腰につるすのを太刀の特色とする。奈良時代から平安時代の初期には大刀または横刀と書いて〈たち〉と読ませ,後世は太刀と書くのが常である。太刀身も作銘(さくめい)は佩表(はきおもて)に入れるのを常とするから,外装がなくとも,刃を上に向けて腰に差す打刀(うちがたな)の類とは容易に識別することができる。…

※「大刀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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