大日本政治会(読み)だいにほんせいじかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大日本政治会」の意味・わかりやすい解説

大日本政治会
だいにほんせいじかい

太平洋戦争末期の政治団体。略称日政。東条英機(ひでき)内閣総辞職契機翼賛政治会の結束力が弱まり、1945年(昭和20)2月には脱会者が続出し、3月彼らは翼壮議員同志会、護国同志会という二つの院内交渉団体を結成した。こうした状況に対応するため、翼賛政治会主流派は新党結成に踏み切り、3月30日大日本政治会を結成、総裁南次郎(陸軍大将)、幹事長に松村謙三(まつむらけんぞう)、総務会長に金光庸夫(かねみつつねお)が就任した。その結果、6月の第87議会召集日の議席数は、日政349、護国同志会31、翼壮議員同志会22、無所属26、欠員38となり、翼賛議会に亀裂(きれつ)が入った。その後日政はみるべき活動をしないまま、敗戦後の9月14日解散した。

[木坂順一郎]

『大木操著『大木日記』(1969・朝日新聞社)』『中谷武世著『戦時議会史』(1974・民族と政治社)』

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百科事典マイペディア 「大日本政治会」の意味・わかりやすい解説

大日本政治会【だいにほんせいじかい】

1945年3月戦争体制強化のため,翼賛政治会を解散させて小磯国昭内閣が組織した政治結社。総裁は南次郎。下からの政治組織としてつくられたが,国民糾合・国体護持・大東亜建設を主張するなど新味はなかった。1945年9月解散。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大日本政治会」の意味・わかりやすい解説

大日本政治会
だいにほんせいじかい

1945年3月 30日小磯内閣のもと翼賛政治会を解散して,新たに組織された政治結社。総裁南次郎衆議院の所属議員は 353名に上ったが,大日本翼賛壮年団などの反発招き民意を下からより一層結集するという目的は達成することができなかった。 45年9月 14日に解散。

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旺文社日本史事典 三訂版 「大日本政治会」の解説

大日本政治会
だいにほんせいじかい

1945年3月,小磯国昭内閣が翼賛政治会を解散して,新たに組織した政治結社
国民糾合・国体護持をうたったが,実質は翼賛政治会と変わらず,敗戦後ほどなく解散した。

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世界大百科事典(旧版)内の大日本政治会の言及

【太平洋戦争】より

…その結果,世話役約21万名,世話人約133万名が誕生し,ここに国家権力による国民の画一的組織化が完成され,天皇制ファシズムが確立した。 しかし戦局の悪化とともにファシズム体制に亀裂が入り,脱会者が相次いだ翼賛政治会は,45年3月30日大日本政治会へ改組された。小磯内閣は,3月23日本土決戦に備えて国民義勇隊の結成を決定し,大政翼賛会は6月13日に解散して国民義勇隊へ発展的解消を遂げ,6月23日には義勇兵役法が公布された。…

【帝国議会】より

…さらに45年の第86議会では選挙法が改正されて朝鮮人や台湾人に選挙権が与えられ,10名の勅選議員も任命されるなど,国民徴用令の適用や徴兵制の施行などによる戦時体制の拡大強化に対応し,植民地住民にも一定の参政権を付与する方向への転換が行われた。また,翼賛政治会は大日本政治会に改組(1945年3月)され,貴衆両院議員のほとんどを網羅したが実質的な変化はなかった。6月の第87議会では戦時緊急措置法が成立し,政府に生産,流通,通信,防衛など,あらゆる面での緊急措置がとれる権限を与え,同時に成人女子を含むほとんどの国民を軍事要員として組織化する義勇兵役法を成立させ,本土決戦に備えての非常態勢に突入した。…

【翼賛体制】より

…44年7月22日東条内閣にかわって小磯内閣が成立するとともに,政府の統制力が低下した。翼賛政治会の主導権を握る旧既成政党の指導者は,45年3月30日同会を解散して大日本政治会を結成したが(総裁南次郎陸軍大将),護国同志会の31名と翼壮議員同志会の20名の合計51名が参加せず,従来の翼賛政治会による事実上の一党独裁体制が崩壊した。 一方,小磯内閣は〈一億総武装〉による〈本土決戦〉を呼号し,1945年3月23日国民義勇隊結成の方針を決定,6月23日義勇兵役法が公布された。…

※「大日本政治会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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