日本大百科全書(ニッポニカ) 「大社会」の意味・わかりやすい解説
大社会
だいしゃかい
the great society
イギリスの政治学者G・ウォラスによって提起されたことばで、経済学の大工業the great industryに対して、それによって大きく変貌(へんぼう)させられた現代社会の姿をいう。大工業を発達させた科学技術は、エネルギーの限界や人や商品の輸送の限界、およびコミュニケーションの限界などを一挙に取り去り、われわれの生きている社会を世界大の規模に拡大するとともに、人間活動のあらゆる側面を結び付けた。このため、それまでの人間の本能や習慣や知性の多くが通用しないものとなり、新しい社会に対する対応を改めて求められることになる。後の大衆社会論の前提の一つとなった用語である。
[庄司興吉]