大阪・姉妹殺害(読み)おおさかしまいさつがい

知恵蔵 「大阪・姉妹殺害」の解説

大阪・姉妹殺害

2005年11月17日午前3時40分頃、大阪市浪速区のマンションの一室から出火し、この部屋に住む飲食店員の姉(当時27)と同居の妹(当時19)が胸や腕などを刃物で刺されたり切られたりして倒れているのを消防隊員が見つけた。2人は病院に運ばれたが死亡が確認された。部屋の一部が焼けていた。殺人事件として捜査を始めた大阪府警は12月5日、事件直前にマンション隣接の会社に侵入した建造物侵入容疑で22歳の男を逮捕、その後、殺害への関与が判明して12月19日、強盗殺人容疑で再逮捕した。大阪地検は06年1月8日、男を強盗殺人などの罪で起訴した。容疑を認め、動機については「人を殺して金を奪おうと思った」と供述する一方で、「人を殺したかった」などとも供述した。起訴状などによると、男は05年11月17日午前2時半頃、マンション4階で、勤め先の飲食店から帰宅した姉を玄関で襲って室内に押し入り、小型ナイフで刺して殺害。約15分後に帰宅した妹も刺殺し、室内から現金5000円などを奪ったとされる。男は16歳だった00年7月、山口市で母親(当時50)を金属バットで殴って殺し、中等少年院送致となり、04年3月に保護観察期間を終えていた。06年5月に大阪地裁で開かれた初公判で、男は起訴事実を認めた。検察側は冒頭陳述で、母親殺害の際に感じた興奮快感を再び得たいと思って犯行を決意した、と述べた。弁護側は、男が少年院にいた00年秋〜03年10月、医師から「広汎性発達障害の疑いがある」と診断されていたと指摘。同地裁は、男の刑事責任能力や人格形成過程を調べるため、弁護側が請求した精神鑑定情状鑑定の実施を決めた。

(緒方健二 朝日新聞記者 / 2007年)

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