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精神鑑定 せいしんかんていpsychiatric evidence; psychiatric examination (evaluation)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

精神鑑定
せいしんかんてい
psychiatric evidence; psychiatric examination (evaluation)

ある人が精神機能に障害をもつかどうかを法的手続のうえで診断すること。刑法,刑事訴訟法または民法に関連して行なわれる。刑法,刑事訴訟法の場合は,刑事事件の被疑者被告人に対して,検察庁裁判所が,犯行当時の精神状態や公判中の現在状態を専門医に委嘱して鑑定する(刑事訴訟法165条以下)。行為当時の精神状態は当人の責任能力を問うものであり(刑法39),現在状態は公判における訴訟能力,すなわち訴訟を続行し,裁判を受けるための能力あるいは当人の証言ないし防御能力を問うものである(刑事訴訟法第3章)。民法上の精神鑑定は,成年後見制度の対象者などについて,当人の不法行為における責任能力(713条),あるいは法律行為に関する行為能力(7,11,15条)を判断するために行なわれる。後者は特に家事審判上の精神鑑定にあたる(家事事件手続法119,133,138)。(→法医学

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

精神鑑定

容疑者の精神状態や責任能力を判断するため、捜査機関精神科医などに委嘱する。精神障害などで責任能力を欠く状態を「心神喪失」、欠いてはいないが著しく減退している状態を「心神耗弱」という。刑法39条は、心神喪失者の行為は罪に問わず、心神耗弱者は減刑することを規定している。捜査機関による鑑定には2種類ある。起訴前に行い、1回の問診で事件当時の精神状態を判断する「簡易鑑定」と、裁判官の許可を得て数週間〜数カ月かけて鑑定する「本鑑定」がある。

(2008-01-23 朝日新聞 朝刊 青森全県 1地方)

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百科事典マイペディアの解説

精神鑑定【せいしんかんてい】

刑法・民法上の裁判に際し,精神科医が裁判所から求められて行う被告人その他についての精神医学的判断。刑法上では通常,犯行時の刑事責任能力すなわち犯行時に心神喪失者,心神耗弱(こうじゃく)者であったかどうかについて鑑定が行われる。
→関連項目小田晋行為障害

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世界大百科事典 第2版の解説

せいしんかんてい【精神鑑定 psychiatric evidence】

日本では現在,精神科医の行う鑑定には,刑法および民法にもとづく責任能力,行為能力,証言能力を鑑定するいわゆる司法精神鑑定(司法鑑定)と,精神保健福祉法にもとづく措置入院要否判定とがあり,精神鑑定というと一般には前者を指している。措置入院の要否の判定では,本人が精神障害者であってみずからを傷つけるか,他人に危害を与えるおそれがあるかどうかの判定(そのおそれがあることを2名以上の精神保健指定医が認めれば措置入院となる)が主であるのに対し,司法精神鑑定は,裁判所や検察官が被告人や被疑者の犯行時の精神状態の判断や,訴訟関係者の行為能力や証言能力の判断を求めて精神科医に鑑定を依頼し,その結果を資料とするものである。

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大辞林 第三版の解説

せいしんかんてい【精神鑑定】

( 名 ) スル
裁判官が被告人の責任能力の有無を判断する資料とするために、精神科医に対して被告人の精神状態を診察させること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

精神鑑定
せいしんかんてい
psychiatric expert testimony

刑法、民法などの法律には精神障害や精神能力に関連した規定があり、その適用に関係して裁判官や検察官などが判断に困ることがある。そのような場合に、裁判官などが専門家(通常、精神医学者)に命令ないし依頼して行われる精神医学的ないし心理学的な検査と、それに基づく判断を精神鑑定という。厳密には裁判官が命令する場合に限られるが、捜査機関、たとえば検察官が依頼する場合も広く精神鑑定という。精神鑑定が問題になるのは、刑法では責任能力、民法では行為能力、不法行為能力、後見・保佐開始の審判、刑事訴訟法では訴訟能力、証言能力などの場合である。実際上、もっとも重要で、ときに鑑定人相互の間に、あるいは鑑定人と裁判官などとの間に意見の相違が生じることがあるのは、刑法上の責任能力の場合である。責任能力は、被告人または被疑者の、自らの犯行に対して責任を負うことができるだけの精神能力であり、通常人は特別な例外状態にない限り、完全な責任能力を有すると考えられる。
 責任能力がまったく失われている場合は責任無能力(わが国の刑法では心神喪失)といい、責任能力がまったくは失われてはいないけれども著しく減退している場合は限定責任能力(わが国の刑法では心神耗弱(こうじゃく))という。裁判で責任無能力と判定されると、無罪が言い渡され、限定責任能力と判定されると、わが国の場合では刑が軽減される。責任能力があるかないか、あるいは著しく減退しているかどうかは、裁判官、検察官などの法律家の決定事項であり、精神鑑定はそのような決定の基礎を提供するものである。責任能力の減喪(責任無能力や限定責任能力)が問題になるのは、わが国の刑法では精神障害者、未成年者の場合であるが、未成年者については、14歳未満の者は罰しないという規定があるため、精神鑑定が必要になることはまれである。
 したがって、責任能力に関して精神鑑定が必要になるのは通常、精神障害者の場合である。精神障害者の責任能力については、次のようなだいたいの判定基準がある。
(1)統合失調症(精神分裂病)、そううつ病などの精神病では、それらの診断がつけばただちに責任無能力で、病状の軽重や、症状と犯行との関連性を考慮する必要はない。
(2)老年期痴呆(ちほう)、頭部外傷などによる精神障害では、精神障害の程度によって責任能力の減喪が決められる。
(3)知的発達障害では、主として知能程度が問題になり、一般に軽度(知能指数69~50)には限定責任能力が、中等度(49~20)には限定責任能力ないし責任無能力が、重度(19以下)には責任無能力が認められる。
(4)アルコール酩酊(めいてい)では、スイスのビンダーH.Binder(1899―1989)の酩酊の分類に従い、単純酩酊には完全責任能力が、複雑酩酊には限定責任能力が、病的酩酊には責任無能力が認められる。
(5)性格異常(精神病質)、性欲倒錯、心因反応、神経症にはそれぞれ完全責任能力が認められる。[中田 修]
『懸田克躬、武村信義、中田修編『司法精神医学』現代精神医学大系24巻(1976・中山書店) ▽山上皓編『精神鑑定』(1996・ライフ・サイエンス) ▽小田晋著『司法精神医学と精神鑑定』(1997・医学書院)』

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世界大百科事典内の精神鑑定の言及

【責任能力】より

…外国の立法例には生物的要素だけによる生物学的方法を採用するものもあるが,日本の現行刑法は両要素を必要とする混合的方法によっている。責任能力は法律上の観念であり,裁判官は精神鑑定を命じないで判断してもよく,また精神鑑定の結果にも拘束されないとされている。しかし多くの場合には精神鑑定の結果が採用されている。…

※「精神鑑定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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