起訴状(読み)キソジョウ

デジタル大辞泉 「起訴状」の意味・読み・例文・類語

きそ‐じょう〔‐ジヤウ〕【起訴状】

被告人氏名公訴事実罪名などを記載し、検察官公訴提起する意思を表示した文書

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「起訴状」の意味・読み・例文・類語

きそ‐じょう‥ジャウ【起訴状】

  1. 〘 名詞 〙 検察官が公訴を提起する意思をあらわした文書。被告人の氏名、公訴事実、罪名などを記載する。
    1. [初出の実例]「公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない」(出典:刑事訴訟法(1948)二五六条)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「起訴状」の意味・わかりやすい解説

起訴状
きそじょう

検察官が特定の被疑事件について、公訴を提起する意思を表示する書面をいう。公訴を提起するには、起訴状を裁判所に提出しなければならない(刑事訴訟法256条1項)。公訴の提起は、これにより事件が裁判所に係属することになる重大な訴訟行為であることから、書面による要式行為とされており、旧法で認められていたような口頭による起訴は、現在では認められていない。起訴状には、(1)被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項、(2)公訴事実、(3)罪名、を記載しなければならない(同法256条2項)。公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならず(同法256条3項)、罪名は、適用すべき罰条を示してこれを記載しなければならない(同法256条4項)。なお、起訴状には、裁判官予断を生じさせるおそれのある書類その他の物を添付し、またはその内容を引用してはならない(同法256条6項)。すなわち、公訴の提起は起訴状の提出のみをもってなされる。これを起訴状一本主義原則とよんでいる。

[内田一郎・田口守一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「起訴状」の意味・わかりやすい解説

起訴状
きそじょう

検察官が公訴を提起するにあたって作成する要式の書面で,裁判所に提出される。 (1) 公訴の提起は,訴訟係属を生ぜしめる主要な訴訟行為であるから,形式的な確実性が特に強く要請され,必ず起訴状の提出をもってこれを行うことが要求されている (刑事訴訟法 256条1項) 。起訴状には,被告人の氏名などこれを特定するに足る事項,審判の対象を明確にするための犯行日時,場所,方法などが特定された公訴事実 (訴因) ,罪名 (罰条) の記載が必要とされる (同条2項以下) 。公訴の提起があったときには,起訴状の謄本が裁判所から被告人に対して送達される。 (2) 起訴状一本主義 検察官が公訴提起にあたって裁判所に提出する起訴状には,裁判官に予断をいだかせるような書類,証拠物を添付,引用してはならないという刑事訴訟法上の原則をいう (256条6項) 。旧刑訴法のもとでは,起訴状とともに捜査過程で収集された各種の証拠書類までも一件記録として裁判所に提出されていた。しかし,当事者主義徹底と公平な裁判の要請,予断排除の原則から旧制度は廃止され,裁判所はいわば白紙状態で公判にのぞむという制度が採用されたのである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「起訴状」の意味・わかりやすい解説

起訴状【きそじょう】

検察官起訴の意思を表示する文書(刑事訴訟法256条)。起訴は起訴状を提示して行う必要がある。起訴状には被告人の氏名・公訴事実・罪名を記載しなければならない。これらの事項以外に裁判官に事件への予断をもたせるような資料を添付・引用してはならない(起訴状一本主義)。起訴状は被告人に送達される。
→関連項目訴因

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の起訴状の言及

【起訴】より

…そのために編み出された実践的主張が〈公訴権濫用〉の理論である。
[起訴の手続]
 検察官が公訴を提起するには,起訴状を管轄裁判所に提出しなければならない(刑事訴訟法256条1項)。起訴状には被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項,公訴事実および罪名のほか,公務員の作成する書類に要求される事項(作成年月日,作成者の署名押印,所属検察庁。…

【訴状】より

…民事訴訟を提起する際に原告が管轄第一審裁判所に提出しなければならない書面(民事訴訟法113条1項)。これに対し,刑事訴訟で検察官が公訴を提起する際に裁判所に提出する文書は,起訴状と呼ばれる。訴えの提起には,訴状に法定の事項を記載し(民事訴訟法133条2項),その作成者である原告またはその代理人が署名(または記名)押印し(民事訴訟規則2条),〈民事訴訟費用等に関する法律〉により訴額に応じた収入印紙をはり,被告の数だけの副本を添えて管轄裁判所に提出しなければならない。…

※「起訴状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android