刑事裁判で検察、弁護側双方がそれぞれの主張の概要を説明する手続き。証拠調べに先立ち、検察側が被告の経歴や事件に至る経緯、犯行の詳しい状況などを述べることが多い。通常は1回だが、京都アニメーション放火殺人事件の裁判員裁判では①事件の経緯や動機(9月5日の初公判)②刑事責任能力(10月23日の第13回公判)③量刑に関わる情状面(11月27日の第17回公判)―と計3回実施。審理が長期にわたる中、争点を整理して裁判員が理解しやすくする狙いとみられる。
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刑事事件の通常第一審の公判審理において、冒頭手続の終了後、証拠調べの始めに、検察官がまず証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならないこと(刑事訴訟法296条本文)を検察官の冒頭陳述といい、裁判所の許可を得て被告人または弁護人が証拠により証明すべき事実を明らかにすること(刑事訴訟規則198条1項)を被告人・弁護人の冒頭陳述という。検察官も、被告人・弁護人も、この場合に、証拠とすることができず、または証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、裁判所に事件について偏見または予断を生じさせるおそれのある事項を述べることはできない。簡易公判手続では検察官の冒頭陳述に関する規定は適用されない。なお、裁判員の参加する裁判手続においては、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにするにあたって、公判前整理手続における争点および証拠の整理の結果に基づき、証拠との関係を具体的に明示しなければならない(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律55条)。被告人または弁護人が冒頭陳述を行う場合も同じである(刑事訴訟法316条の30)。
[内田一郎・田口守一]
刑事事件を審理する公判の手続において,証拠調べのはじめに,検察官が証拠によって証明すべき事実を明らかにすること(刑事訴訟法296条)。証拠調べに先立つ冒頭手続で起訴状が朗読され,すでに訴因(公訴事実)が示されている。その訴因は犯罪となるべき事実の主張であり,証明の究極の対象であるが,この冒頭陳述では,犯罪の背景,動機,実行に至るまでの経緯,あるいは犯行後の状況など,簡潔に記述された訴因事実を取り巻く事実面・法律面での重要な事実が主張される。ただし,量刑の資料となるにすぎない事実(情状)については問題があり,とくに被告人が犯行を否認しているような場合にはそれを述べることは許されるべきでないと考えられる。また,資料に基づかない陳述はもちろん,証拠とすることのできない資料や証拠として取調べを請求する意思のない資料に基づく陳述も許されない。なお,検察官が陳述した後,弁護側の陳述がなされることもある(刑事訴訟規則198条)。
執筆者:米山 耕二
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…(2)証拠調べは,公判手続の中心的部分であり,原則として両当事者の請求に基づいて行われる。はじめに検察官が証拠によって証明すべき事実を明らかにする(冒頭陳述)。この事実をめぐり,検察官が立証(攻撃)をし,被告人・弁護人がそれに対する反証(防御)をしていく。…
…証拠調べを施行するにあたって,証拠決定をする。刑事訴訟では,証拠により証明すべき事実を陳述する冒頭陳述がなされ,証拠調べの請求がなされた後,これを採用しまたは請求を却下する旨の証拠決定をしなければならない(職権で証拠調べを行うときも同様である。刑事訴訟規則190条)。…
※「冒頭陳述」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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