出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
天文観測や正しい時間の保持のために使われる精密に時を刻む時計をいう。古代の日時計、水時計もその当時での天文時計といえるが、本来の意味での天文時計は共振制御による振り子時計がつくられて以降出現した。すなわち、1889年ドイツのリーフラが自由脱進機を完成させ、1921年イギリスのショルトが自由振り子時計を発明して以後である。ショルトの天文時計は日差が1日に0.001秒に達し、地球自転の不整の検出を可能にしたほどの精度をもつものであった。その後より精度の安定した水晶時計や、さらに精度の高い原子時計が発明、実用化されると振り子型の時計は姿を消した。現今、世界主要国の天文台ではセシウム原子時計を天文観測に際して用いているが、原子時計、水晶時計ともとくに天文時計という呼び方はしない。
[渡辺敏夫]
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