天狼(読み)テンロウ

デジタル大辞泉 「天狼」の意味・読み・例文・類語

てんろう〔テンラウ〕【天狼】

日本の俳句雑誌。昭和23年(1948)、西東三鬼橋本多佳子らが山口誓子擁立して同人誌として創刊。のち、誓子主宰誌となる。平成6年(1994)3月に誓子が没し、同年6月をもって廃刊

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精選版 日本国語大辞典 「天狼」の意味・読み・例文・類語

てんろうテンラウ【天狼】

  1. [ 一 ]てんろうせい(天狼星)《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「天狼・大角・織女の如きの恒星は、土星天より外に在て、而も光輝却而強盛なるは何ぞや」(出典:暦象新書(1798‐1802)上)
    2. [その他の文献]〔楚辞‐九歌・東君〕
  2. [ 二 ] 俳句雑誌。昭和二三年(一九四八)一月創刊。主宰は山口誓子。物の根源の追求を主張、「根源俳句」で俳壇論議の対象となり、注目をあびた。平成六年(一九九四)六月にて終刊

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天狼」の意味・わかりやすい解説

天狼
てんろう

俳句雑誌。1948年(昭和23)奈良で創刊。文学的主張の相違から『馬酔木(あしび)』を辞した山口誓子(せいし)が、西東三鬼(さいとうさんき)、橋本多佳子(たかこ)、榎本(えのもと)冬一郎らの擁立を受け、同人誌として出発させた。創刊号に「酷烈なる俳句精神」「鬱然(うつぜん)たる俳壇的権威」を掲げ「素手によって生命(根源)を把握」という根源探求に専心し、第二次世界大戦後の俳壇に大きな影響を与えた。創刊時の同人にはほかに、秋元不死男(ふじお)、平畑静塔(せいとう)らがいる。のちに右城暮石(ぼせき)、横山白虹(はくこう)、沢木欣一(きんいち)、佐藤鬼房(きぼう)、鈴木六林男(むりお)らを加えた。選句欄「遠星集」の充実により、誓子主宰誌となった。以後、誓子の強いイニシアティブの下で発行が続いたが、93年(平成5)、誓子が自身の体力と視力の低下を理由に終刊を決定。翌94年3月、誓子が死去し、同年6月、「終刊号」の発行を最後に廃刊された。

鷹羽狩行

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改訂新版 世界大百科事典 「天狼」の意味・わかりやすい解説

天狼 (てんろう)

俳句雑誌。西東三鬼,橋本多佳子らが,山口誓子を囲む同人誌として1948年(昭和23)1月に創刊。誓子は創刊号で,〈酷烈なる俳句精神〉〈鬱然たる俳壇的権威〉を実現したいと述べたが,三鬼のニヒリズム永田耕衣の東洋的無,平畑静塔の俳人格などは,俳句精神の根源を探求した成果であり,昭和20年代の俳壇に活気をもたらした。その後は誓子の主宰誌的性格を強め,今日に至っている。
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世界大百科事典(旧版)内の天狼の言及

【シリウス】より

…その名はギリシア語のセイリオス(〈焼きこがすような〉の意)に由来する。中国名は天狼(てんろう)。冬の空に清冽(せいれつ)な光を投げかけるさまをらんらんと光る目をもつオオカミにたとえた。…

【山口誓子】より

…40年病をえて内面を凝視する沈潜した句風に転じ《激浪》(1946)等で象徴的作品をも生み出した。48年俳誌《天狼(てんろう)》を創刊,根源俳句を唱え平淡滋味の境地を深め,飛躍を重んじた自在な句境を求めた。〈海に出て木枯帰るところなし〉(《遠星》1947)。…

※「天狼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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