天穂日命(読み)アマノホヒノミコト

関連語 中つ国

改訂新版 世界大百科事典 「天穂日命」の意味・わかりやすい解説

天穂日命 (あめのほひのみこと)

日本神話にあらわれる神の名。記紀の神話に天照大神(あまてらすおおかみ)が素戔嗚尊(すさのおのみこと)との誓約(うけい)のさいになした5神中の1神で,出雲国造(いずものくにのみやつこ)の祖神とされる。名義は高天原(たかまがはら)に由来する稲穂神霊の意。国譲り神話のなかでは高天原より葦原中国あしはらのなかつくに)へ派遣され,大国主神(おおくにぬしのかみ)に媚びて3年のあいだ滞留し復命しなかったと語られているが,《出雲国造神賀詞(かむよごと)》では復命のうえ,その子天夷鳥命(あめのひなとりのみこと)を地上に遣わしオオクニヌシに国譲りさせたとなっている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「天穂日命」の意味・わかりやすい解説

天穂日命
あめのほひのみこと

国譲り神話のなかに出てくる神。天照大神(あまてらすおおみかみ)と須佐之男命(すさのおのみこと)が誓約(うけい)をした際、天照大神の珠(たま)から生まれた五男神のなかの一神。出雲(いずも)の国譲りのとき、第一の使者として派遣されたが、大国主神(おおくにぬしのかみ)に媚(こ)びへつらって、3年間復命しなかったという(『古事記』)。しかし、『出雲国造神賀詞(いずものくにのみやつこのかむよごと)』では復命したとある。出雲国造らの祖神。天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)などと同じように、稲穂の神という意であろう。「日」が太陽の意とすれば、太陽の光の恵みによって、稲の穂が豊かに実ることを神格化したものであろう。

[守屋俊彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「天穂日命」の解説

天穂日命 あめのほひのみこと

記・紀にみえる神。
天照大神(あまてらすおおみかみ)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)が誓約(うけい)をした際に生まれた五男神の一神。葦原中国(あしはらのなかつくに)に高天原(たかまがはら)から派遣されたが復命せず,のちに大国主神(おおくにぬしのかみ)の祭主を命じられたという。出雲(いずも)氏,土師(はじ)氏らの祖先神。「古事記」では天菩比命。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...

実質賃金の用語解説を読む