遙任(読み)ようにん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

遙任
ようにん

遙授ともいう。奈良~平安時代,地方官に任じられながら在京し,得分のみを得た者をさす。京官を経済的に優遇するために大宰帥などを兼帯させたのに始るが,平安時代になって兼官のない地方官にまで遙任の風が一般化し,留守所制を発達させ,国司制度を崩壊に導くにいたった。 (→目代 )

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

遙任
ようにん

県召除目(あがためしのじもく)で国司に任ぜられても、任国には赴任せず在京すること。遙授ともいい、得分のみを得るために、公卿(くぎょう)などが守(かみ)を兼ねる場合は、その代理として目代(もくだい)を任国に下向させ、国務をとらせる例であった。中級官吏でも奉公の功労により国司を兼任する者もある。これは、役得の多い地方官につかせて優遇しようとするもので、この場合も遙任となることが多い。一般に受領(ずりょう)が正官(せいかん)であるのに対し、遙任国司には権官(ごんかん)が多い。遙任のことは、766年(天平神護2)員外(いんがい)国司の赴任をいっさい禁止したのに始まる。この員外国司は774年(宝亀5)に廃止されたが、延暦(えんりゃく)年間(782~806)以降、権任(ごんにん)国司が増加した。国守不在の国衙(こくが)は留守所(るすどころ)といわれた。

[渡辺直彦]

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精選版 日本国語大辞典の解説

よう‐にん エウ‥【遙任】

〘名〙 主に平安時代に、本官として京官にありながら、地方官を兼ねて、それについている俸祿などを収入とするもの。はじめは、下級の地方官をこれにあてていたが、次第に上級の地方官に及び、国守にも赴任しないものが出るようになった。京官を優遇するところから始まったもので、奈良時代から見られたが、平安時代には一般化した。遙授。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

遙任
ようにん

奈良・平安時代,司が在京のまま任国に赴任せず,目代 (もくだい) を派遣し,収入のみを得ること
平安中期以後盛んとなり,国衙 (こくが) は国司の私領のようになり,地方政治の乱れる原因となった。この場合,国衙は留守所と呼ばれ,実際に政務をとる役人在庁官人といった。

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