凹面鏡またはレンズを用いて太陽放射熱を集め,その焦点に置かれた試料を照射加熱する炉.多くの場合放物面鏡が使われ,極短時間に試料の温度を上げることができ,最高約4×104 ℃ までの高温が定常的に得られる.しかし,光学系に入射する太陽光線は厳密には平行光線でないため,焦点に結ばれる太陽像は一定の広がりをもつ像となり,焦平面上で反射鏡の光軸に垂直方向で最大径を示す部分が加熱面積になる.形式には,太陽光線を放物面鏡により直接反射して試料に当てる直達式と,太陽光線をヘリオスタット平面鏡で一度反射し,その後,放物面鏡で光線を試料に当てるヘリオスタット式がある.ヘリオスタット式には,光軸を水平にしたものや垂直にしたものがある.太陽炉は1955年ころから各国で開発された.大気中,減圧あるいは酸素雰囲気下で高温加熱を行う場合は太陽炉が有利である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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