凹面鏡の一種で、表面を放物面にした反射鏡。光軸に平行に入射した光線を放物面の幾何学的焦点に集める性質がある。逆に放物面の焦点に点光源を置けば、反射光線は光軸に平行な光線となり、遠方に行っても広がらないので、サーチライトの反射鏡として用いられる。反射天体望遠鏡では対物鏡として放物面鏡を使用する。軸上は収差なく良好な結像を生ずるが、軸からすこし外れるとコマ収差が大きくなり、急激に像が悪くなる。したがって使用可能な視野は狭い。視野が大きい場合には、凹面鏡の曲率中心に補正板を置いたシュミット鏡がよい像を与える。太陽熱を集めて高温を生じさせる太陽炉にも放物面鏡が用いられるが、大型のものでは全面を放物面にすることは困難であるから、小さな部分ごとに集光し、それらのエネルギーを同一点に集める方法がとられる。日本では東北大学科学計測研究所の放物面鏡を利用した太陽炉が有名である。
[三宅和夫]
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…凹面鏡は凸レンズに似た性質があり,f>0,s>0で,焦点より外側に物体を置く(s>f)と倒立した実像が得られ,内側に置く(s<f)と鏡のうしろ側に正立した虚像ができる。広くは回転楕円面,放物面の内側を反射面としたものも凹面鏡に含め,このうち放物面を利用した放物面鏡parabolic mirrorは,焦点から出た光が放物面で反射したのち光軸と平行になるので,自動車のヘッドライトやサーチライトなどに用いられている(図2)。 球面鏡には色収差がまったくないという特徴はあるが,球心に物体を置いた等倍結像系の場合を除き,球面収差をはじめ各種の収差が大きいので単独で用いられることは少ない。…
※「放物面鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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