女人成仏(読み)にょにんじょうぶつ

精選版 日本国語大辞典 「女人成仏」の意味・読み・例文・類語

にょにん‐じょうぶつ ‥ジャウブツ【女人成仏】

〘名〙 仏語女性が悟りを開いて仏となること。
※日蓮遺文‐女人成仏鈔(1265)「殊更女人成仏の事は此経より外は更にゆるされず」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「女人成仏」の意味・わかりやすい解説

女人成仏
にょにんじょうぶつ

女性も男性と同様に悟りを開き、仏(ほとけ)(覚者)になることができるということ。古来インドでは女性の地位を低くみており、釈尊も初めは女性が僧団に入ることに反対した。また女性には梵天(ぼんてん)、帝釈(たいしゃく)、魔王、転輪王(てんりんおう)、仏の五種にはなれない五つの障害があるとされていた。しかし、大乗仏教ではすべての衆生(しゅじょう)が仏になるという理念から、女性も男性に身を変えて成仏すると説いた。これを「変成男子(へんじょうなんし)」という。たとえば『無量寿経(むりょうじゅきょう)』の阿弥陀(あみだ)仏第三十五願(がん)には、女性も浄土(じょうど)に往生(おうじょう)して男性の身になるとあり、『法華経(ほけきょう)』には竜王(りゅうおう)の娘が文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の導きによって男となり成仏したと説かれている。

[松本史朗]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「女人成仏」の意味・わかりやすい解説

女人成仏
にょにんじょうぶつ

仏教において,古来より女性は五障一つとして,女性のままでは悟りを開けず (成仏できない) ,いったん男性に生れ変ってのちに初めて悟りを開きうるという考え。男性に生れ変ることを変成男子 (へんじょうなんし) といい,『無量寿経』や『法華経』などにこの考え方が現れている。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「女人成仏」の解説

女人成仏
にょにんじょうぶつ

歌舞伎浄瑠璃外題
初演
天和2.1(京・村山座)

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