六訂版 家庭医学大全科 「女性尿道腫瘍」の解説
女性尿道腫瘍
じょせいにょうどうしゅよう
Female urethral tumor
(腎臓と尿路の病気)
どんな病気か
女性の尿道の前部3分の1を遠位部尿道、後部3分の2を近位部尿道といいますが、近位部尿道の3分の1が
①良性腫瘍
女性の尿道腫瘍で最も多いのは尿道カルンクラです。これは外尿道口付近の後壁にできる暗赤色の腫瘍です。閉経後の経産婦にしばしば認められ、更年期以前にはまれです。組織学的には血管に富んだ結合組織からなり、
いずれにしても良性腫瘍のため、
その他の良性腫瘍としては、
②悪性腫瘍(がん)
尿路性器腫瘍のなかで唯一男性より女性に多く、扁平上皮がんが過半数を占め、移行上皮がんと
症状の現れ方
尿道出血がほとんどで、
検査と診断
視診・触診(経腟的触診)、尿道鏡+生検(組織をとって調べる)、
治療の方法
男性同様、病期によって治療計画が立てられます。
①表在がん
内視鏡を使った切除術や開腹による腫瘍の切除、レーザーによる焼灼が行われます。外尿道口腫瘍の場合には、尿道の部分切除も行われます。
②浸潤がん
手術や放射線の単独治療では予後不良で、術前の放射線照射+前方骨盤内臓器の全摘出術が推奨され、リンパ節の
予後は、5年生存率は表在がんが45%、浸潤がんが11~26%で、前部尿道がんでは49%、後部尿道がんでは13%です。また2㎝以下では60%、5㎝以上では13%です。
病気に気づいたらどうする
前述した症状に気づいたら、早めに泌尿器科医に相談すべきです。症状が軽くなった、あるいは消失したといっても、経過観察にしないでぜひ相談してください。早期に発見できれば治療の範囲も小さくてすみ、予後も違ってきます。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報