女性尿道腫瘍(読み)じょせいにょうどうしゅよう(英語表記)Female urethral tumor

六訂版 家庭医学大全科 「女性尿道腫瘍」の解説

女性尿道腫瘍
じょせいにょうどうしゅよう
Female urethral tumor
(腎臓と尿路の病気)

どんな病気か

 女性の尿道の前部3分の1を遠位部尿道、後部3分の2を近位部尿道といいますが、近位部尿道の3分の1が移行上皮(いこうじょうひ)で、その他は扁平上皮(へんぺいじょうひ)です。

①良性腫瘍

 女性の尿道腫瘍で最も多いのは尿道カルンクラです。これは外尿道口付近の後壁にできる暗赤色の腫瘍です。閉経後の経産婦にしばしば認められ、更年期以前にはまれです。組織学的には血管に富んだ結合組織からなり、肉芽腫(にくげしゅ)型、血管腫型、新生物に分けられます。

 いずれにしても良性腫瘍のため、腫瘤(しゅりゅう)切除術、電気凝固術、レーザー切除術、凍結術などで治ります。

 その他の良性腫瘍としては、嚢胞(のうほう)ポリープ尖圭(せんけい)コンジローマなどがあります。これらも切除術で治りますが、尖圭コンジローマはウイルス感染のため再発しやすく、電気焼灼(しょうしゃく)術のほかフルオロウラシル軟膏やブレオマイシン軟膏が用いられます。

②悪性腫瘍(がん)

 尿路性器腫瘍のなかで唯一男性より女性に多く、扁平上皮がんが過半数を占め、移行上皮がんと(せん)がんがほぼ同数です。頻度は女性の全悪性腫瘍の0.02%で、好発年齢は50~70歳です。発がんの誘因には慢性の炎症刺激、線維化、憩室(けいしつ)、ウイルス感染などがあります。

症状の現れ方

 尿道出血がほとんどで、頻尿(ひんにょう)、排尿痛、尿道痛、腫瘤触知(しょくち)などです。

検査と診断

 視診・触診(経腟的触診)、尿道鏡+生検(組織をとって調べる)、経腟的穿刺細胞診(けいちつてきせんしさいぼうしん)で腫瘍の存在について診断します。病期の診断にはCTMRI、胸部X線検査などが行われます。

治療の方法

 男性同様、病期によって治療計画が立てられます。

①表在がん

 内視鏡を使った切除術や開腹による腫瘍の切除、レーザーによる焼灼が行われます。外尿道口腫瘍の場合には、尿道の部分切除も行われます。

②浸潤がん

 手術や放射線の単独治療では予後不良で、術前の放射線照射+前方骨盤内臓器の全摘出術が推奨され、リンパ節の郭清(かくせい)も行われます。化学療法では男性と同様、シスプラチン、フルオロウラシル、ブレオマイシン、メトトレキサートマイトマイシンなどが併用されます。

 予後は、5年生存率は表在がんが45%、浸潤がんが11~26%で、前部尿道がんでは49%、後部尿道がんでは13%です。また2㎝以下では60%、5㎝以上では13%です。

病気に気づいたらどうする

 前述した症状に気づいたら、早めに泌尿器科医に相談すべきです。症状が軽くなった、あるいは消失したといっても、経過観察にしないでぜひ相談してください。早期に発見できれば治療の範囲も小さくてすみ、予後も違ってきます。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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