食の医学館 の解説
にんしんじひかえたいしょくひんしこうひん【妊娠時、ひかえたい食品・嗜好品】
妊娠中はたいせつな生命が体内にあるわけですから、摂取する食品だけでなく、胎児に影響を与えるような食品はひかえなければなりません。
その1つは、「妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)」の項でも触れている塩分のとりすぎです。
また、鉄分やビタミンをたくさん摂取するためにレバーは最適ですが、妊娠中、とくに初期では、大量摂取が催奇形性(さいきけいせい)をまねくことがあるので、これもとりすぎには注意したい食品です。
そして、カルシウムや鉄分を十分に摂取しなくてはいけないからといって、サプリメントを大量に利用するのは考えものです。なるべく食品から摂取することを心がけ、サプリメントの内容量や摂取量に気をつけながら、じょうずに取り入れるようにしましょう。
そのほか、口にするもので注意したいものとしては、コーヒーなどのカフェイン飲料やアルコール類、タバコなどがあります。
カフェインはコーヒーのほか、紅茶や日本茶、烏龍茶(ウーロンチャ)などにも含まれますが、基本的には妊娠前と同様にたしなむ程度なら心配はありません。ただ、とりすぎると神経を刺激して、体に負担がかかり、胎児にも影響を与えます。1日に2~3杯程度を目安にしましょう。
妊娠中に大量のアルコールを摂取すると、胎児の発育障害や知的障害をまねくこともあり、注意が必要です。だからといって、完全に禁酒をする必要もありません。知っておきたいことは、母体にアルコールが入ると、母体を通じて胎児もアルコール分を摂取することになるということです。アルコールの摂取は、たまに飲む程度にとどめ、飲むときにも泥酔するほどの量はひかえなければなりません。1回に飲む量としては、ビールやワインを1~2杯程度にしておきましょう。
どうしてもやめておきたいものがタバコです。タバコのニコチンは血管を収縮させる作用があり、これによって胎児に送られる血液量が減ってしまうのです。
つまり、胎児に送られる栄養素が減ってしまうため、低体重児で生まれる可能性が大きいのです。
1日に20本以上を喫煙する妊婦の出産では、3人に1人が低体重児であるという統計もあり、また流産する可能性も非喫煙者の2倍になってしまいます。
健康な人でもタバコは生活習慣病をはじめ、さまざまな病気を引き起こす原因となるものです。
これから生まれてくる赤ちゃんの健康を守ることを第一に考えたいものです。