姉女房(読み)アネニョウボウ

デジタル大辞泉 「姉女房」の意味・読み・例文・類語

あね‐にょうぼう〔‐ニヨウバウ〕【姉女房】

姉さん女房」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「姉女房」の意味・読み・例文・類語

あね‐にょうぼう‥ニョウバウ【姉女房】

  1. 〘 名詞 〙 夫より年上の妻。姉さん女房
    1. [初出の実例]「種蒔じゃとてわざと塩魚〈十竹〉 つばくらの唇うすき姉女房〈藤乃〉」(出典:俳諧・庵の記(1707)初発心)

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改訂新版 世界大百科事典 「姉女房」の意味・わかりやすい解説

姉女房 (あねにょうぼう)

夫より年長の妻。同年の妻を含める場合もある。現在は夫が妻より年長であるのが一般であるが,初婚年齢が今より低かった時代には,一人前の女性として,主婦の能力にたけている姉女房が,それほど珍しくはなかったと考えられている。姉女房を指す民俗語は広く見いだされ,東京のアネニョウボウ,関西のオヒニョウボウ,沖縄のシイザトジ(シイザは年長,トジは主婦の意),東北のヘラマシなどいずれも年長を意味し,姉女房が一般的でなくなる過程においてこうした名称が顕在したと考えられる。現在も姉女房を好む地域があり〈姉女房,福の神〉という類のことわざが各地にある。姉女房がかなり高率に存在する地域として,海女養蚕機織の村,奄美諸島の村などがあり,その社会における女性の労働との関係をうかがわせる。姉女房が全婚姻数の2割以上ある場合に,婚姻研究の上で問題になる。その存在の条件は必ずしも明らかではないが,地域内婚的傾向,父系親族集団の欠如にともなう女性の社会的地位の相対的高さ,および女性の労働力への依存に由来する経済的地位の相対的高さなどがあげられている。このことからも夫婦の年齢差,ことに姉女房の傾向は婚姻分析のひとつ指標として注意される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「姉女房」の意味・わかりやすい解説

姉女房
あねにょうぼう

年上の妻。古くは男子の結婚年齢が低く,夫より年上の妻が普通であった。地方によってアンマトジ,アンネカッカ,オイネ,イギヤマシ,イッポンベラなどと呼ばれ,「姉女房は福の神」「オイネ女房は蔵が建つ」「ヒトツアネは金 (かね) のわらじをはいて探せ」のような諺が各地にある。これは姉女房が,年長のため世故にたけ,所帯切盛りに長じて家が栄える原因になると考えられたからであろう。西日本には姉女房が半数近くに上る村落の例もあるが,これは村内婚の傾向と関係し,村外婚の多い地域には姉女房は少い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「姉女房」の意味・わかりやすい解説

姉女房
あねにょうぼう

妻の方が夫より年長の場合にいう。東北地方では姉女房を一般にヘラマシ、1歳年長をイッポンベラ、2歳ならニホンベラなどとよぶ。「ヘラ」はこの地方の飯杓子(めしじゃくし)の方言で、昔から主婦権の象徴であったからヘラといえば女房のことを表している。「一本ベラは金のわらじを履いてでも探せ」と言い習わされていて、年長の女房は世事にもたけ家のきりもりにも慣れているところから、年上の女房が喜ばれたものであろう。

[丸山久子]

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世界大百科事典(旧版)内の姉女房の言及

【婚姻】より

…配偶者の個人的資質として求められたのは,男女ともによく働く者ということであった。地域によっては年長の妻(姉女房)を好むことがあり,〈姉女房,福の神〉といった類のことわざは各地にある。姉女房の存在は,その社会における女性の労働価値や,男女の相対的地位の問題と関係する。…

※「姉女房」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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