(読み)エン

デジタル大辞泉 「婉」の意味・読み・例文・類語

えん【婉】[漢字項目]

[音]エン(ヱン)(漢)
しとやかで美しい。「婉然婉麗妖婉ようえん
おだやかで、かどがない。「婉曲婉語
[名のり]しな・たお・つや

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「婉」の読み・字形・画数・意味


11画

[字音] エン(ヱン)
[字訓] つつましい・しなやか

[説文解字]

[字形] 形声
声符は宛(えん)。宛は女子がつつましく中に坐している形。その姿を婉という。〔説文〕十二下に「順ふなり」と、婉順の意とする。

[訓義]
1. つつましい。
2. しなやか、わかくうつくしい。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕婉 尓己也介之(にこやけし) 〔名義抄〕婉 ウルハシ・ウツクシフ・ヤハラカナリ・シタガフ・カザル・メグル・ウゴカス・マゲテ・タオヤカナリ

[語系]
婉・宛iuan、iua、逶iuaiは声義近く、婉曲の意がある。

[熟語]
婉愛婉奕・婉婉婉・婉曲婉慧婉言婉詞婉辞・婉淑・婉順婉縟・婉然・婉婉転婉佞婉媚・婉美・婉婉冶・婉約・婉愉婉容・婉麗・婉・婉恋
[下接語]
哀婉・燕婉・華婉・柔婉・淑婉・清婉・静婉・繊婉・貞婉・幽婉・優婉・妖婉

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「婉」の解説

婉(1) えん

?-? 江戸時代中期の女性
出羽(でわ)米沢藩(山形県)を浪人し,江戸で医者となった父にしたがう。享保(きょうほう)(1716-36)の末ごろ16歳のとき,父の留守に盗みにはいった4人の男を殺傷。一躍女丈夫(じょじょうふ)として有名になり,町奉行に賞された。

婉(2) えん

大原富枝の小説「婉という女」の主人公。
土佐藩執政の父野中兼山が失脚し,4歳の時から40年間幽閉生活をおくる。赦免後藩の儒官谷秦山(じんざん)にであい,互いにひかれるが,秦山は政変にまきこまれ,蟄居(ちっきょ)後没し,婉は孤独の中で秦山の思い出に生きる。昭和35年「群像」に掲載。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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