子どもの心の病気(読み)こどものこころのびょうき

家庭医学館 「子どもの心の病気」の解説

こどものこころのびょうき【子どもの心の病気】

子どもの心の病気の特徴
 一口に子どもの心の病気といっても、精神発達遅滞(せいしんはったつちたい)や自閉症(じへいしょう)などの発達障害から、心理的葛藤(かっとう)から生じる神経症的障害、さらには精神病的障害など多岐(たき)にわたり、同じ病気でも、年齢によって症状がちがってくることがよくあります。
 子どもの心の病気は、①体質的特徴や気質的性格特徴などの子どもの側の要因、②養育環境の要因、③学校の状況や仲間との関係などの社会的環境要因、の3つの観点から総合的に理解していくことが重要です。
 1つの観点だけで子どもの問題を理解しようとする態度は、「本人が悪い」「親の育て方が悪い」「学校の対応が悪い」といった犯人探しや責任のなすり合いになりがちで、肝心の「子どもの援助」は蚊帳(かや)の外におかれてしまう危険があります。両親をはじめ子どもを支えていくおとなたちが、この3つの観点から子どもの示す症状を理解していくことは、援助のしかたヒントを見つけることにも役だつのです。
 また、子どもの心の病気を理解していくうえで、「その症状によって子どもは何を訴えようとしているのか」を考えていくこともたいせつです。とくに神経症的問題を示す子どもの援助ではこの観点が重要になってきます。こうした観点で子どもの症状を考えていくと、それが単なる「悪いもの」「治すべきもの」というマイナスの側面だけではなく、「子どもが今後成長していくための題材」というプラスの側面ももっていることがみえてきます。
●どう対応すればよいのか
 子どもに心の病気と思われる症状が出現したとき、親は、どう対応したらいいのか、育て方が悪かったのかなど、さまざまな不安におそわれることでしょう。そして、子どもの状態を理解しようとして、育児書や専門書などを購入することもあるでしょう。書籍から一般的な知識を得ることはできますが、自分たちの子ども固有の症状を理解する方法や援助法が書かれているわけではありません。本によっては全く正反対の対処法が書いてあって、混乱してしまうこともよくあるのです。
 まず、「子どものことを一番よくわかっているのは自分たち親である」と自信をもつことが重要です。そして、こうした本はあくまでも参考資料として利用するといった、ゆとりのある態度で読むことをお勧めします。
 そのうえで、自分たちの子どもに固有の問題として一緒に考えたいとか、治療が必要と思った場合には、専門機関に相談してみましょう。病気の内容や年齢に応じて、薬による治療や遊戯療法(ゆうぎりょうほう)などの精神療法、治療教育的アプローチ、両親へのアドバイス、などを組み合わせて治療を行なうことになります。
 相談機関としては、児童精神科だけではなく、心の問題も診(み)てくれる小児科などの医療機関、児童相談所や保健所、教育相談機関などがあります。同じ問題をもつ親たちによる自助グループなども、心強い存在となることもあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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