コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

宇宙医学 うちゅういがくspace medicine

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宇宙医学
うちゅういがく
space medicine

人間が異なる環境である宇宙へ行くときに問題となる点を研究する医学宇宙旅行を3期に分類して難関を考えると次のようになる。 (1) 第1期の大気圏からの脱出期 加速度 (重力の 10~20倍) に耐えうること,減圧と低酸素状態への対応。 (2) 第2期の大気圏外旅行期 無重量,無酸素,低圧,低温,宇宙の放射線,食糧,振動,騒音,限られた居住空間,孤独感,小人数の閉鎖空間における人間関係,宇宙視覚,月面上などでの作業動作。 (3) 第3期の大気圏への帰還期 加速度,摩擦熱,カプセルからの脱出。これらの問題を研究するために低温低圧室,遠心力発生装置,無重量状態発生装置,気密室などが用いられ,生体計測のため心電図,血圧,筋電図やそのテレメータ装置,環境条件計測のための温度,湿度,気圧,放射線,ガス組成などの計測装置,宇宙環境へ適応するための宇宙服,固形酸素,人工栄養エキスなどが研究開発され,その成果は広く地球上における医学,生物学に役立っている。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

デジタル大辞泉の解説

うちゅう‐いがく〔ウチウ‐〕【宇宙医学】

宇宙飛行が人体に及ぼす影響を研究し、危険・障害から人体を守るための医学。

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

百科事典マイペディアの解説

宇宙医学【うちゅういがく】

宇宙空間,宇宙飛行下の諸条件が人体に及ぼす影響を解明し,それへの適性,順応,保護などを研究する学問。生理学・心理学的内容が主。ロケット打上げや降下の際の加速度(重力の10〜20倍),放射線,強い光線,低温や高温などからの保護,宇宙船内での酸素濃度や気圧の変化,無重量状態下の生活と身体への影響,生活周期の乱れや孤独,不安などの精神的負荷などを研究,宇宙船の設計,宇宙飛行士訓練の基本資料とする。
→関連項目航空宇宙精神医学

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

うちゅういがく【宇宙医学 space medicine】

人間が宇宙空間で生命を維持し,人体を防御する際に遭遇する諸問題を,医学的,心理学的,生理学的あるいは生化学的に研究する学問。人間が宇宙に飛び出した時には,人体にどのような変化が起こるか,それにはどう対処したらよいか,宇宙でかかる病気にはどのような特徴があるか,予防方法はないか,宇宙という特殊な環境をどうしたら病気の治療に利用できるか,宇宙で人間が生活していくためにどういう空間を設計したらよいか,食物や水の供給の問題,排出物処理をどうするか,空気をどのようにして清浄な状態に保つか,ちりやごみの処理をどうするか,といった種々の問題が生じる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

うちゅういがく【宇宙医学】

宇宙空間における人体の生理的変化とその対応策、病気の特徴と予防、宇宙環境を利用した病気の治療、宇宙空間における人間の生活設計などを対象とする医学。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宇宙医学
うちゅういがく
space medicineaerospace medicine

宇宙に人間が進出したとき遭遇する新しい環境条件の研究および対策、それに伴う保健・治療の問題などを研究する学問分野。宇宙環境およびそこでの人工環境が人間に与える影響、そしてそれに対する対策、地球に戻ってきてからの問題などいろいろな課題が宇宙開発のなかでクローズアップされてきた。それらが宇宙医学の研究対象であり、そのおもなものは次のようである。
 〔1〕宇宙飛行士の適性の問題。〔2〕出発時の直線加速度、大気圏再突入時の減速度の人間に及ぼす影響と対策。〔3〕無重量状態の人間に及ぼす影響と対策。〔4〕昼夜の交代と生理的リズムとの関係。〔5〕宇宙機内における生活科学、人間工学。〔6〕宇宙機の安全、救難、救助の問題。〔7〕宇宙空間に存在する物質や、その状態などが人間に及ぼす影響と対策。〔8〕宇宙飛行中の知覚の問題。〔9〕宇宙における生命の起源の問題。〔10〕宇宙病の問題とその対策。〔11〕宇宙機内活動の際の疲労の問題。〔12〕宇宙機外活動にかかわる諸問題。〔13〕地球に戻ったあとのアフター・ケアの諸問題。〔14〕宇宙飛行士の健康管理の問題。〔15〕宇宙における孤独現象に対する対策。〔16〕少数社会における人間関係の問題。
 宇宙医学の目的についてはさまざまな考え方があるが、次のようにまとめることができる。(1)将来、宇宙植民地、宇宙工場、宇宙病院など人間が宇宙に進出する場合に、宇宙において安全に活動できるように、どのような要因が人間に影響を与え、それに対してどのような対策を考えていくべきかを研究し、宇宙開発を実現させていくこと。(2)宇宙において生命の起源を探り、人類の歴史を完結させる。さらに存在するかもしれない宇宙における別の生命ないし文明を探査し、宇宙におけるライフサイエンスの問題を追究すること。(3)宇宙医学の分野で研究開発されたものの地球上への波及効果。もちろんそれを意識して研究開発をするものではないが、結果的にそうなることも目的の一つと考えてもよいのではなかろうか。
 スペースシャトル時代の今日においてもっとも重要な課題は、無重量状態と人間との関係である。人間が無重量状態に置かれると、不活動性萎縮(いしゅく)をおこして、心臓循環機能の低下、筋力の低下、骨からの脱カルシウムなどがみられ、さらに船酔いに似た宇宙病を引き起こしたりする。これらをどのようにして防ぐかということが大きな問題となっている。これらを解決しつつ、宇宙での人間の活動が支障なく行われるように準備をしているというのが宇宙医学の現状であるといえよう。[大島正光]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

宇宙医学の関連キーワード民間宇宙団体(日本の)国際宇宙ステーションフライトサージャン米ロ宇宙協力協定誘致による分類サリュート杉本 良一宇宙生物学向井千秋生活設計宇宙科学航空医学生体工学大島正光きぼうg

今日のキーワード

大義

1 人として守るべき道義。国家・君主への忠義、親への孝行など。「大義に殉じる」2 重要な意義。大切な事柄。「自由平等の大義を説く」...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

宇宙医学の関連情報