宇宙基本法(読み)ウチュウキホンホウ

デジタル大辞泉 「宇宙基本法」の意味・読み・例文・類語

うちゅう‐きほんほう〔ウチウキホンハフ〕【宇宙基本法】

宇宙の開発および利用に関する理念基本方針を定めた法律。平成20年(2008)成立。宇宙の平和利用と国民生活の向上産業振興宇宙科学の振興による人類社会の発展などを目的とする。首相を本部長とする宇宙開発戦略本部宇宙基本計画を作成し、その実施を推進する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇宙基本法」の意味・わかりやすい解説

宇宙基本法
うちゅうきほんほう

宇宙の開発・利用を促進するため、2008年(平成20)に議員立法で成立した法律(平成20年法律第43号)。従来は非軍事分野に限ってきた宇宙利用を防衛目的にまで拡大した。首相がトップを務める宇宙開発戦略本部の設置や宇宙開発基本計画の5年ごとの策定を盛り込み、政治主導により国際競争に打ち勝つ宇宙戦略づくりを目ざしている。

 宇宙の探査・利用について初の国際的な条約である宇宙条約(1967年発効)を、同年(昭和42)に批准し加盟国となった日本は、宇宙の開発・利用は平和目的に限ることを原則としてきた。しかし、国際情勢の変化、とくに北朝鮮による弾道ミサイル発射などを背景に、防衛目的への拡大が望まれるようになった。宇宙基本法の成立により、防衛省が高性能の偵察衛星などを直接運用できるようになった。

 日本の宇宙開発予算はアメリカの10分の1、ヨーロッパの半分程度で、宇宙開発・利用を所管する省庁総務、文部科学、経済産業などばらばらであった。本基本法では、内閣府に宇宙局を新設して行政一元化したほか、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)とほかの宇宙関連部門を統合し、一体的な宇宙開発を目ざすことをうたった。

[編集部]

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知恵蔵 「宇宙基本法」の解説

宇宙基本法

自民党は2008年、「宇宙基本法」制定を目指している。目標として掲げているのは、宇宙開発・利用による安全保障体制の強化、研究開発の促進、産業の振興の3本柱である。日本の宇宙活動は、これまで旧文部省と旧科学技術庁、次いで文部科学省によって遂行され、司令塔が政府になかった。これを、総理大臣に直結した、省庁の枠を超える宇宙戦略本部を作り、政府や産業界などが取り組むべき課題と方策を基本計画にまとめ、具体化していこうというものである。しかしはっきり言えば、これまで「非軍事」だった宇宙利用を「非侵略」に改めることに眼目がある。これに対し公明党は「宇宙の平和利用」を逸脱する恐れがないか、と基本法に慎重な構えを見せ、また民主党は、内閣府主導の宇宙開発体制を展望する対案を準備しているといわれる。

(的川泰宣 宇宙航空研究開発機構宇宙教育センター長 / 2008年)

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百科事典マイペディア 「宇宙基本法」の意味・わかりやすい解説

宇宙基本法【うちゅうきほんほう】

宇宙開発と利用に取り組む基本方針を定めるための法律。2008年5月に成立・公布された。国民生活の向上,人間の生存に対する脅威の除去,国際社会の平和と日本の安全保障に資することを目的としている。国連宇宙条約と日本国憲法に基づき,ミサイル監視衛星など非侵略目的で宇宙の軍事利用を可能としたのが特徴。これまで宇宙開発は文部科学省,経済産業省,国土交通省などの省庁がそれぞれ担ってきたが,この基本法では,内閣総理大臣を本部長,官房長官と宇宙開発担当大臣を副本部長とする宇宙開発戦略本部を内閣に新設するとともに,内閣府に宇宙局を設置し,総合的な宇宙計画をつくることとしている。

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