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宇宙条約 うちゅうじょうやく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宇宙条約
うちゅうじょうやく

正式名称は「月その他の天体を含む宇宙空間探査および利用における国家活動を律する原則に関する条約」Treaty on Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space,including the Moon and Other Celestial Bodies。1967年1月27日に調印,同年 10月10日に発効した。この条約は「宇宙憲章」としての性格をもつと同時に,他面では「宇宙における軍備規制条約」としての性格をもっている。前者としては,宇宙空間と天体の探査や利用についての基本原則を定めており,とりわけ宇宙天体の領有禁止,宇宙活動が国際法に従って行なわれることなどを規定している。しかし,この条約には多分に「宣言」的な性質の条項が含まれており,その点で,将来結ばれる宇宙に関する具体的な取り決めのための大綱という感が深い。後者としては,核兵器その他の大量破壊兵器を地球の軌道に乗せないこと,天体に設置しないこと,宇宙空間に配置しないことを約束し,また月その他の天体の軍事的利用が禁止されている。ただし ICBMなどは宇宙空間を「通過する」だけであるとして禁止されず,核大国の軍事的活動にあまり支障がないように仕組まれている,ともいわれる。2008年現在,当事国は日本を含む 98ヵ国。

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デジタル大辞泉の解説

うちゅう‐じょうやく〔ウチウデウヤク〕【宇宙条約】

「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」の略称。平和利用の原則、領有の否定、軍事利用の禁止、国際協力などを内容とする。1967年発効。

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百科事典マイペディアの解説

宇宙条約【うちゅうじょうやく】

宇宙天体条約とも。1966年末の国連第21回総会で推奨決議され,1967年に米ソはじめ各国(日本も)が調印した宇宙空間と天体の利用についての基本法的条約の略称。

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大辞林 第三版の解説

うちゅうじょうやく【宇宙条約】

正称、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約。平和利用・宇宙活動自由・領有禁止などの宇宙利用に関する基本原則を定める。1966年採択。1967年発効。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宇宙条約
うちゅうじょうやく

正称はTreaty on Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space, Including the Moon and Other Celestial Bodies「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」。国連における宇宙法の制定作業の成果として生まれ、1967年10月発効。わが国はこの条約の制定に積極的に参加し、条約加盟国となっている。人類初めての宇宙についての基本法で、これまで法的には白紙であった宇宙空間と天体の法的地位を定め、これを人類の法秩序のなかに組み込んだ。条約は「宇宙基本法」であるとともに「宇宙軍縮条約」としての性格をもっている。
 条約の基本的な構造は、平和利用原則、宇宙利用原則、宇宙活動自由の原則、領有禁止原則、国際協力原則、他国利益尊重の原則の六つの基本原則を支柱として、これに法秩序の創設のための諸条項と国際協力の諸条項とを組み合わせたものである。[池田文雄]

宇宙基本法としての側面

条約は宇宙活動の基本法であり、宇宙の利用を法によって規制し、宇宙における法秩序を創設した。もっとも基本的な大原則は、宇宙活動は万国の利益のために行われ、全人類に認められる活動分野であるとする宇宙利用原則で、従来の国際法には未知の観念である。宇宙はすべての国が無差別平等に国際法に従い自由に探査利用することができる(宇宙活動自由の原則)。宇宙空間と天体は人類の共有物であり、これについて国家は領有権や所有権・排他的使用権を主張できない(領有禁止原則)。宇宙活動はまずこの宇宙条約に従い、次に一般国際法、国連憲章が適用あるいは準用される。宇宙船の乗組員はその登録国(本国)の管轄の下に置かれ、宇宙活動については国家が国際責任を負い、私企業の宇宙活動は国の許可と継続的監督を要件として認められ、私企業の宇宙活動についても国家が直接に国際責任を負う。国際機関の宇宙活動については、国際機関と国際機関の構成員であるこの条約の当事者との双方が国際責任を負う。政府間国際機関の宇宙活動については条約が適用され、条約上の権利が与えられる。条約の当事国は宇宙打上げ物体による損害に対して責任を負う。宇宙活動は国際協力と相互援助の原則に従って行い(国際協力原則)、他国の対応する利益に妥当な考慮を払って行わなければならない(他国利益尊重の原則)。[池田文雄]

国際協力の諸条項

国際協力原則を具体化したものに次の諸条項がある。宇宙飛行士の救助と本国送還、宇宙打上げ物体の回収と返還、有害汚染の防止と有害宇宙活動についての国際的協議、宇宙物体の観測の便宜、宇宙活動の通報。[池田文雄]

宇宙軍縮条約としての側面――平和利用原則

この条約は、南極条約、部分的核実験停止条約に続く軍縮の副次的措置の一つで、核兵器などの大量破壊兵器を地球軌道に乗せ、天体に設置し、宇宙空間に配置することを禁止している。これにより、水爆衛星などの核衛星、月面上などの核基地は禁止されることになった。天体は完全に非軍事化され、平和目的のみに利用される。天体上の地域は自由に査察され、天体上の基地、施設、宇宙機は相互主義と合理的な予告という条件のもとに他国の査察に開放される。問題は宇宙空間が完全には非軍事化されなかった点にあり、偵察衛星、軍事通信衛星、航海衛星などの軍事衛星はこの条約では禁止されていない。これらの衛星は米ロそれぞれの核潜水艦と指令基地とを結ぶ核戦略システムの中枢神経となっており、ここに大きな問題がある。東西の冷戦解消後も、このような宇宙の軍備について基本的な変化はみられない。[池田文雄]

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世界大百科事典内の宇宙条約の言及

【宇宙法】より

…それと並行して,この時期に宇宙法制度が形成された。今日,宇宙法の基本原則は国際慣習法として一般に承認され,また後述する〈宇宙条約〉を中軸に一連の条約・協定が成立し,法の網の目がしだいに整備されているが,なお総体的に発達の過程にあるため,未成熟であり,流動的である(たとえば,宇宙空間の法的定義や宇宙空間と領空の間の法的境界は未決定のままである)。 宇宙法の成立には国際連合が当初から重要な役割を果たした。…

※「宇宙条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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