日本大百科全書(ニッポニカ) 「安富」の意味・わかりやすい解説
安富
やすとみ
兵庫県南西部、宍粟郡(しそうぐん)にあった旧町名(安富町(ちょう))。現在は姫路(ひめじ)市の北西部を占める一地区。旧安富町は1956年(昭和31)安師(あなし)、富栖(とみす)の2村が合併、町制施行して成立。2006年(平成18)姫路市に編入。国道29号(因幡(いなば)街道)が通じる。中国自動車道が通り、近くに山崎インターチェンジがある。揖保(いぼ)川の支流林田川が南流し、中心地区の安志(あんじ)は江戸時代には小笠原(おがさわら)氏安志藩の陣屋町であった。農林業を行い、林田川の谷あいでは野菜の抑制栽培が盛ん。また、ユズによる町おこしが進められ、その加工品を生産する。林田川流域はゲンジボタルの保護地に指定され、上流には「鹿(しか)の壺(つぼ)」とよばれる甌穴(おうけつ)がある。皆河(みなご)の千年家とよばれる旧古井家住宅は室町時代の名主層の住居と推定され、国指定重要文化財の指定を受け、周辺は千年家公園として整備されている。光久寺の本尊の不動明王立像も国指定重要文化財になっている。
[二木敏篤]
『『安富町史 通史編』『安富町史 史料編』(1994、1995・安富町)』