日本大百科全書(ニッポニカ) 「夢前」の意味・わかりやすい解説
夢前
ゆめさき
兵庫県南西部、飾磨郡(しかまぐん)にあった旧町名(夢前町(ちょう))。現在は姫路(ひめじ)市の北東部を占める一地区。旧夢前町は1955年(昭和30)置塩(おきしお)、鹿谷(かや)、菅野(すがの)の3村が合併し町制施行。町名は北から南に貫流する夢前川にちなむ。2006年(平成18)3月姫路市に編入。戦国時代には赤松氏が置塩城を築き、約1世紀の間本拠とした。姫路市の北部にあり、播磨(はりま)臨海工業地域の発展で宅地開発が進み、農業も花卉(かき)園芸や養鶏が盛んとなった。野畑地区に夢前工業団地が造成されている。書写(しょしゃ)山円教寺の奥の院、弥勒(みろく)寺の本堂および木造弥勒(みろく)仏と両脇侍菩薩(ぼさつ)像は国の重要文化財。また、置塩城跡が国の史跡に指定されている。修験(しゅげん)者の道場であった日本三彦山の一つ雪彦山(せっぴこさん)はロック・クライミングの山となった。塩田(しおた)温泉は播磨唯一の温泉である。
[大槻 守]
『『夢前町史』(1979・夢前町)』