出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
幕末期のペリー来航以降,主として安政期(1854~60)に江戸幕府が鋳造・発行した金銀貨。文政期に始まる小額貨幣化がより進展し,開国にむけて海外との金銀比価の格差への対応に翻弄された時期にあたる。小額貨幣は4種改鋳されたが,うち嘉永一朱銀・安政二分金はたんに改鋳益金を得るため鋳造されたものである。最も大量に発行された安政一分銀は洋銀と同質な銀貨を流通させるため,同二朱銀は金銀比価の格差に対応するため鋳造された。基準貨幣の正字小判・一分金は天保小判と同品位で量目のみ2割小型化した。政字丁銀・豆板銀は品位13%で,近世最悪の銀貨となったが,流通量が少なく影響は小さかった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報