極印(読み)きわめいん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

極印
きわめいん

出版許可を明示するため,錦絵上に摺られた印章名主,行事,年月の印とともに改印 (あらためいん) と総称される。江戸時代,寛政期の初め頃から行われた。印形が年代により異なるため,錦絵の刊行年代を推定する基準となる。

極印
ごくいん

江戸時代の焼印の一つ。 (1) 偽造防止品質証明のため,金・銀貨に紋章,鋳造者名,花押,金額などを打刻すること。 (2) 幕府諸藩などが領内通行の船舶に打って一種の通行許可証とした焼印。 (3) 幕府,諸藩などが領内産出の木材に押した焼印。 (4) 幕府が朝鮮にんじんに打つよう命じた販売許可印。 (5) 「きわめいん」と読むと,鑑定者の押す印章のこと。

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デジタル大辞泉の解説

きわめ‐いん〔きはめ‐〕【極(め)印】

江戸時代、浮世絵版画を刊行する際、検閲済みのしるしとして版画にすられた、丸に「極」の字などの小さな印。
古筆などの鑑定のしるしとして、折り紙や極め札に押す印。

ごく‐いん【極印】

江戸時代、金・銀貨や器物などの品質の保証、偽造の防止などのために打つ印。
動かしがたい証拠・証明。刻印

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百科事典マイペディアの解説

極印【きわめいん】

改(あらため)印とも。江戸時代,寛政年間(1789年―1801年)以後錦絵(にしきえ)の画中にすられている検閲印。この印文形式により刊行年代を推定できる。また古筆鑑定の証として押した印もいう。

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大辞林 第三版の解説

ごくいん【極印】

江戸時代、品質証明あるいは偽造防止・盗難防止のため、品物や金銀貨に押した文字や印形。
永久に残るしるし。いつまでも消えない証拠。刻印。
[句項目] 極印を打つ

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

極印
ごくいん

江戸時代、品質保証または公許であることを表すためにさまざまな物に押された印の総称。(1)金貨、銀貨には、それぞれ金座、銀座が極印を押したほか、両替屋が目印として極印を打った。(2)桿秤(さおばかり)に押された守随(しゅずい)家または神(じん)家の印。桿秤は、東33か国は江戸秤座の守随家、西35か国は京都秤座の神家の管轄下にあった。(3)分銅(ふんどう)に押された分銅座の後藤四郎兵衛(しろべえ)家の印。(4)幕府の川船統制策により関東の川船に川船奉行が打つ印。これにより船年貢、役銀が徴収された。(5)商品を海上輸送する船に打たれた印。海難事故を防ぐために船足(ふなあし)(吃水線(きっすいせん))を定めたものだが、航行許可証になった。(6)幕府、諸藩が伐り出した材木に押された印。[滝 泰子]
『柚木学著『近世海運史の研究』(1979・法政大学出版局) ▽所三男著『近世林業史の研究』(1980・吉川弘文館) ▽小泉袈裟勝著『秤』(1982・法政大学出版局) ▽川名登著『近世日本水運史の研究』(1984・雄山閣出版) ▽三井高維編著『新稿 両替年代記関鍵2 考証篇』(1995・岩波書店)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

きわめ‐いん きはめ‥【極印】

〘名〙
① 江戸時代、浮世絵の版画に摺(す)られている「極」の字などの小さな印。錦絵を刊行する際の検閲済のしるしとした。
② 古筆などの鑑定のしるしとして折紙極札(きわめふだ)に押す印。

こく‐い【極印】

浄瑠璃嫗山姥(1712頃)一「恋の極印(コクヰ)なる」

ごく‐いん【極印】

〘名〙 (「こくいん」とも)
① 金銀貨や器物などの品質を保証するために打つ印形。また、貴金属に、盗難予防や偽造を防ぐために打つ印をもいう。こくい。こっくい。
※歌舞伎・梅柳若葉加賀染(1819)序幕「右金子には、一両々々向う梅の極印(コクイン)
② きわめのしるしや動かしがたい証拠として示すもの。証明。刻印。
※随筆・当世武野俗談(1757)鞘町東伊「江戸にて極印三ケ津の名人共両人は焼出され」
③ あばたをいう俗語。〔浮世草子・御伽名代紙衣(1738)〕

こっく‐い【極印】

〘名〙 (「ごくいん(極印)」の変化した語)
※俳諧・六百番誹諧発句合(1677)一一四番「こっくゐのかねに咲けり花石目〈聞也〉」
※雑俳・柳多留‐五〇(1811)「本望さこっくひの有る首を取り」

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世界大百科事典内の極印の言及

【極書】より

…16世紀の桃山文化華やかな時代に初代古筆家了佐が出現し,豊臣秀吉より〈古筆〉姓を賜り,印文〈琴山〉の印を使用した(古筆了佐)。この古筆家の使う印を極印(きわめいん)という。2代了栄によって極印は琴山印(方印)を表印,栄字印(小判形)を裏印と制定して骨董界に君臨した。…

※「極印」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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