日本大百科全書(ニッポニカ) 「宍喰」の意味・わかりやすい解説
宍喰
ししくい
徳島県南端、海部郡(かいふぐん)にあった旧町名(宍喰町(ちょう))。現在は、海陽町の南西部を占める地域。太平洋に臨み、高知県境にある。旧宍喰町は、1924年(大正13)町制施行。2006年(平成18)海南、海部の2町と合併、海陽町となった。地域は山地が多く、中心街は宍喰川河口の低地にある。阿佐海岸鉄道が通じ、海岸沿いに国道55号が走る。キュウリ、イチゴ栽培が盛ん。沿岸は那佐(なさ)湾、水床(みとこ)湾などリアス海岸が続き、室戸阿南海岸国定公園の一部。竹ヶ島は海域公園に指定されていて、海中観光船が就航している。宍喰浦の化石漣痕(れんこん)は国の天然記念物。八坂神社(やさかじんじゃ)は日本三祇園(ぎおん)の一つとされ、例祭には山車(だし)が出る。八朔(はっさく)(旧暦8月1日)のひな祭りはこの地域独特の行事である。国道55号沿いに、地下1000メートルから湧出(ゆうしゅつ)する宍喰温泉がある。
[高木秀樹]
『『宍喰町誌』(1986・宍喰町)』