宗谷暖流(読み)そうやだんりゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宗谷暖流」の意味・わかりやすい解説

宗谷暖流
そうやだんりゅう

宗谷海峡を経てオホーツク海に入る対馬(つしま)暖流が、北海道北東岸に沿って南東に流れる暖流。幅は20海里(約37キロメートル)以下。一部知床(しれとこ)半島を回って根室(ねむろ)海峡に入る。宗谷暖流は主として日本海側とオホーツク海側との水位差によって維持されている。勢力は夏にもっとも強く、海面水温は20℃以上、塩分濃度は34(海水中の塩類の量をpsu=実用塩分単位で示した値)、流速は1ノット(時速1852メートル)以上になるところもある。晩秋にオホーツク海から南下する表層低塩分水(東カラフト海流系の水)と交替するが、冬も流氷の下に断続的な潜流となって残る。イカ、サンマホッケなどの豊富な漁場である。

[赤川正臣]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宗谷暖流」の意味・わかりやすい解説

宗谷暖流
そうやだんりゅう

日本海を北上した対馬海流 (暖流) の一部が,日本の最北端宗谷海峡を横断し,オホーツク海を海岸沿いに知床半島まで南下する海流。それより先は2分し,一方はオホーツク海北方へ,他方は根室海峡をさらに南下して衰退する。夏季に勢力が強くなり,冬季は衰える。水温4℃以上で,夏季には 18℃ぐらいになる。

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世界大百科事典(旧版)内の宗谷暖流の言及

【対馬海流】より

…流速は流軸付近で毎秒50cm程度である。対馬海流はその一部が津軽海峡から太平洋に流入する津軽暖流となり,一部は宗谷海峡からオホーツク海へ抜ける宗谷暖流となるが,残余はサハリンの西岸沖にまで達する。海流【宮田 元靖】
[生物]
 魚種をみると,水平的にはイワシ,アジ,サバ,タイ,タチウオといった南方系の種類とハタハタ,タラ,ズワイガニといった北方系の種類とが共存している海域が,太平洋側に比べて広い。…

※「宗谷暖流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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