宝菩提院(読み)ほうぼだいいん

日本歴史地名大系 「宝菩提院」の解説

宝菩提院
ほうぼだいいん

[現在地名]西京区大原野南春日町

勝持しようじ寺の東にある天台宗の寺。京都府向日市寺戸てらど町にあったが、昭和四八年(一九七三)当地に寺基を移し、建物も解体して移築した。寺戸町の旧境内を中心とする白鳳時代の寺域で、巨大な塔の中心礎石などが出土している(京都府向日市の→宝菩提院廃寺。仏華林山願徳がんとく寺と号し、本尊如意輪観音

〈京都・山城寺院神社大事典〉

〔願徳寺〕

元禄一四年(一七〇一)刊の縁起によれば、持統天皇の夢告によって創建したという。創建が白鳳期にさかのぼることは、寺跡出土の瓦によって証明される。付近有力豪族の氏寺として始まったものであろう。「広隆寺来由記」によれば、太秦広隆うずまさこうりゆう(現京都市右京区)の本尊霊験薬師仏はもと西山にしやま願徳寺にあったが、貞観六年(八六四)道昌の請によって広隆寺へ移され、清和天皇の病気平癒や大堰おおい川洪水の際の祈願に霊験を示した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宝菩提院」の意味・わかりやすい解説

宝菩提院
ほうぼだいいん

京都市西京区にある天台宗の寺。仏華林山願徳寺ともいう。持統天皇の草創と伝えられるが開祖は定かではない。寺宝の『菩薩半跏像』 (伝如意輪観音,平安時代) は国宝本体は台座蓮肉とともにヒノキ一木造で,一面二臂,右足を踏み下げて座す。黒石を入れた瞳と鋭い目鼻だち,天衣等の深い衣文の表現は大陸風であり,渡来者もしくはその技法の継承者の手に成るものとされる。現在は付近の勝持寺に保管されている。

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