宮仕(読み)ミヤジ

精選版 日本国語大辞典 「宮仕」の意味・読み・例文・類語

みや‐づかえ‥づかへ【宮仕】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 宮中に仕えること。また、宮廷に出仕すること。
    1. [初出の実例]「夫れ初めて出身(ミヤツカヘ)せむ者をば、先づ大舎人に仕へ令めよ」(出典:日本書紀(720)天武二年五月(北野本訓))
    2. 「この人の宮仕への本意、必ずとげさせ奉れ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  3. 貴人の家に仕えること。仕官奉公
    1. [初出の実例]「この宮づかへするところの北の方亡せたまうて」(出典:大和物語(947‐957頃)一四八)
  4. 主人や目上の者などの身のまわりの世話をすること。奉仕してかいがいしく尽くすこと。給仕すること。
    1. [初出の実例]「この宮づかへいとわづらはしく侍れど」(出典:落窪物語(10C後)一)
    2. 「舅御の臥悩の抱きかかへ、みやづかへは嫁の役」(出典:浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)下)
  5. 神仏に奉仕すること。
    1. [初出の実例]「あはれなる尼なり。三時の花のみやづかへを仕うまつる」(出典:栄花物語(1028‐92頃)玉のうてな)
  6. 官庁・会社などに勤務すること。
    1. [初出の実例]「殿木も宮仕(ミヤヅカ)えした以上は、ああいう道を辿らざるをえないね」(出典:激流(1963)〈高見順〉三)

きゅう‐じ【宮仕】

  1. 〘 名詞 〙 宮中、または貴人に仕えること。みやづかえすること。
    1. [初出の実例]「朝恩にも申し替へて、御宮仕(キウジ)申すべし」(出典:源平盛衰記(14C前)三一)
    2. 「よの中に、すまじきものはきうじ也、我奉公の身ならずは、かかるうきめを見もやせん」(出典:説経節・しんとく丸(1681‐88頃)四)

みや‐づかい‥づかひ【宮仕】

  1. 〘 名詞 〙みやづかえ(宮仕)
    1. [初出の実例]「我が子になして、みやづかひをも、よろしからん事もせさせよとて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)

みや‐じ【宮仕】

  1. 〘 名詞 〙 掃除などの雑役に従事した下級の社僧。
    1. [初出の実例]「神人宮仕等同中矢亡命」(出典:百練抄‐治承元年(1177)四月一三日)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の宮仕の言及

【北野天満宮】より

…北野には目代を置いて事務を処理した。祠官は宮仕(みやじ)と称し,松梅院,徳勝院,妙蔵院その他があり,江戸時代には松梅院が神事奉行として責任者となり,宮仕が交替して年預(ねんよ)となり社務をつかさどった。祭礼は25日が月例祭で,ほかに10月4日の〈ずいき祭〉など多い。…

※「宮仕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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