百練抄(読み)ひゃくれんしょう

精選版 日本国語大辞典 「百練抄」の意味・読み・例文・類語

ひゃくれんしょうヒャクレンセウ【百練抄・百錬抄】

  1. 鎌倉後期歴史書。一七巻。編者未詳亀山天皇在位中の成立とされる。安和二年(九六九)から正元元年(一二五九)までの史実漢文編年体で記す。公家日記を抄録したと推定される記事が多い。鎌倉時代中・後期の年代記としての史料的価値は高い。巻三までは散逸し、冷泉天皇以後の部分が現存する。

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改訂新版 世界大百科事典 「百練抄」の意味・わかりやすい解説

百練(錬)抄 (ひゃくれんしょう)

鎌倉末成立の編年体通史。全17巻中最初の3巻は散逸。冷泉天皇(在位967-969)から後深草天皇(在位1246-59)までの歴史を漢文で記す。成立時期・著者は不明だが,鎌倉後期の貴族の手になるものと考えられる。古い部分の記事は諸日記を抄出した簡略なものであるが,後半は当時の貴族の日記を使用しているらしく,きわめて詳細な記載であり,鎌倉後期の政治史を知る上で重要な史料となっている。《国史大系所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「百練抄」の意味・わかりやすい解説

百練抄
ひゃくれんしょう

編年体の通史。17巻。編者未詳。13世紀後期の成立か。書名は中国唐代の詩人白楽天(はくらくてん)の詩『百錬鏡』からとったものであるが、日本では『百練抄』と書き慣(なら)わしてきている。巻四冷泉(れいぜい)天皇(10世紀中期)から最終巻亀山(かめやま)天皇即位(1259)までが現存している。記事には京都やその周辺の事柄が多く、鎌倉幕府や地方のことには詳しくない。先行の歴史書や、貴族の日記、年代記などを参照しながら抜粋して編修したらしい。1304年(嘉元2)鎌倉幕府の執権で金沢文庫の発展に尽力した金沢(かねさわ)(北条)貞顕(さだあき)がこれを書写したことがある。『国史大系』所収。

[益田 宗]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「百練抄」の解説

百練抄
ひゃくれんしょう

編年体の歴史書。編者不詳。亀山天皇在位中の成立か。全17巻のうち巻1~3は散逸。現存部分は冷泉(れいぜい)天皇の968年(安和元)から1259年(正元元)の亀山天皇の即位まで。貴族の日記をもとに編纂したと考えられるが,典拠を明記した記事は数少ない。12世紀後半部分は「吉記(きっき)」を典拠とする。末尾部分は編者の日記を利用しているといわれる。記事は朝廷の動向が中心で平安末期から詳しくなり,鎌倉時代の史料としては重要。神宮文庫が金沢貞顕書写の金沢文庫本の模写本を所蔵。江戸時代から「百錬抄」と書かれるが,本来は「百練抄」。「国史大系」所収。

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百科事典マイペディア 「百練抄」の意味・わかりやすい解説

百練抄(百錬抄)【ひゃくれんしょう】

鎌倉時代末期に成立した編年体の通史。全17巻のうち初めの3巻が欠落している。著者は不明だが,鎌倉後期の公家と考えられる。冷泉(れいぜい)天皇(在位967年−969年)から後深草(ごふかくさ)天皇(在位1246年−1259年)までの歴史を漢文で記しており,平安中期から鎌倉中期に至る政治や社会の動きなどを知ることのできる好史料。

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