家庭でのかぜ治療の原則

六訂版 家庭医学大全科 「家庭でのかぜ治療の原則」の解説

家庭でのかぜ治療の原則
(呼吸器の病気)

 かぜを軽視してはいけませんが、軽いかぜで医療機関を受診するのは考えものです。もっと重いかぜやほかの病気の人が集まる医療機関で、それらの原因菌をもらってしまうことがあります。自宅療養に専念すべきか医療機関を受診すべきかの見極めが必要です。

 医療機関を受診するべきなのは、39℃以上の高熱鼻汁(びじゅう)や痰が黄色や緑色咽頭(いんとう)はれや痛みがひどい、(せき)で眠れない、息切れがする、食事が満足にとれないなどの症状がある人や、65歳以上の高齢者、慢性の肺や心臓の病気あるいは糖尿病や腎臓病などがある人、および妊婦などです。

 逆に家庭療養でよいのは、これらの症状が軽い人や慢性の病気のない人です。たとえば、痰が白色や透明の場合には細菌感染は合併していませんが、黄色や緑色の場合には細菌感染を合併していると考えられ、抗生剤の投与が必要になってきます。

 さて、家でかぜを治す時はどのようにすべきでしょうか。医療機関で処方されたり街の薬局で買ったかぜ薬を規則正しく服用するだけでなく、安静と十分な睡眠をとること、うがい手洗いを行うこと、栄養と水分を十分にとることなどが必要です。乾燥しやすい冬には、室内の湿度を保って乾燥を防ぐことや十分な換気が必要です。

 腹痛下痢などおなかの症状が出やすい夏のかぜでは手洗いと排泄物衛生管理が大切ですし、おなかを冷やさないことも重要です。

 食事は消化のよいものにし、解熱したら入浴は可能です。数日間入浴していないために体が不衛生になった場合は、家族に清拭(せいしき)してもらってもよいでしょう。発熱していても元気でさえあれば、体の衛生を保つためにも、湯冷めしないようにすれば入浴してもかまいません。

 民間療法の薬の効き目については確かな証拠はまだ少ないのが現状なので、医師薬剤師に相談するのがよいでしょう。漢方薬に関しては有効性に関する証拠がそろってきたので、健康保険が効いて医療機関で使えるものが増えてきました。これも医療機関に相談してください。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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