六訂版 家庭医学大全科 「家庭用防虫剤中毒」の解説
家庭用防虫剤中毒
かていようぼうちゅうざいちゅうどく
Mothball poisoning
(中毒と環境因子による病気)
どんな中毒か
家庭用防虫剤には従来、パラジクロルベンゼン、ナフタリン、
防虫剤市場の70%を占めるパラジクロルベンゼンは、数g(碁石大のもの1個)を飲み込んでも健康に害を及ぼしません。ピレスロイドも毒性が低い物質です。これに反し、ナフタリンや樟脳は2~3g(成人)で中毒症状を引き起こします。防虫剤中毒では、その成分を確認することが第一です。
防虫剤による中毒は、乳幼児や認知症の老人の誤食によるものが多くなっています。認知症の患者さんが口にする場合は、薬やアメ玉と思ってなめたり、飲み込んだりというものであり、袋の上からかじる小児の誤食よりずっと大量になります。
症状の現れ方
ナフタリン中毒の症状は
樟脳は中枢神経毒であるため、興奮、呼吸促進、
樟脳中毒の発症は遅くとも2時間以内なので、誤食後2時間以上経過して無症状なら問題はありません。
検査と診断
包装など品物(成分)を判別するものがなくなっている場合は、水に浮くか沈むかという比重による簡単な識別法が有用です(図6)。
治療の方法
解毒剤はなく、けいれん対策や呼吸管理などの対症療法が行われます。
吉岡 敏治
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報