小田原衆所領役帳
おだわらしゆうしよりようやくちよう
一冊
別称 北条家分限帳・小田原分限帳・小田原北条所領役帳など
成立 永禄二年
写本 国立公文書館内閣文庫・神奈川県立図書館ほか
解説 永正から永禄に至る検地を基礎に北条氏康が作成させた帳簿。領国内の一門・家臣に対する諸役賦課の基準となる役高を記す。御馬廻衆・職人衆などの各衆ごとに人名・軍役貫高・知行地所在地名などを記載。総数五六〇人、七万二千貫余、八二五村。戦国大名北条氏の支配体系・権力構造を知るうえでの重要な史料である。原本は焼失し、現存諸写本は元禄五年の写本(焼失)の転写本。昭和五一年系統の異なる今井家本が発見された。
活字本 続群書類従二五上・日本史料選書二・「平塚市史」一・「新編埼玉県史」資料編八付録
小田原衆所領役帳
おだわらしゆうしよりようやくちよう
一冊
別称 北条家分限帳・小田原分限帳・小田原北条所領役帳など
成立 永禄二年
写本 国立公文書館・神奈川県立図書館ほか
解説 永正から永禄に至る検地を基礎に、北条氏康が作成させた領国内の一門・家臣に対する諸役賦課の基準となる役高を記した帳簿。御馬廻衆・職人衆などの各衆ごとに人名・軍役貫高・知行地所在地名などを記す。総数五六〇人、七万二千貫余、八二五村。戦国大名北条氏の支配体系・権力構造を知るうえでの有力な史料である。原本は焼失。現存諸写本は元禄五年の写本(焼失)の転写本。
活字本 続群書類従二五上・東京市史外篇・日本史料選書二
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
小田原衆所領役帳 (おだわらしゅうしょりょうやくちょう)
戦国大名北条氏康が作らせた,一族・家臣の諸役賦課の基準となる役高を記した帳簿。《北条家分限帳》《小田原北条所領役帳》などとも呼ばれる。1巻。永禄2年(1559)の奥書をもつ。後北条氏は,1520年(永正17)から55年(弘治1)にかけて数度の検地を実施し,それに基づき,本書が作成されたのである。書名の由来となった〈小田原衆〉をはじめ〈馬廻衆〉〈玉縄衆〉など12の衆別に,家臣560人の役高が貫文で記され,その郷村名も併記された。八王子,鉢形などの支城の衆が欠けているが,後北条氏の家臣に対する軍事動員をはじめとした諸役賦課の体制の究明に必須史料である。高野山高室院所蔵原本は焼失。1692年(元禄5)武蔵金輪寺宥相の写本(1860焼失)が転写されて今日の諸本となった。《東京市史外篇》《続群書類従》《日本史料選書》に所収。
執筆者:下村 信博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
小田原衆所領役帳
おだわらしゅうしょりょうやくちょう
北条氏康(うじやす)が作成させた役高帳。小田原衆、御馬廻(おうままわり)衆、江戸衆、玉縄(たまなわ)衆など16衆別、計560人の一族、家臣の軍役および諸役賦課基準を貫高で郷村別に列記したもの。小田原役帳、北条分限(ぶげん)帳ともいう。天文(てんぶん)(1532~55)末~弘治(こうじ)年間(1555~58)に作成された各衆別の役高帳を1559年(永禄2)に一つにまとめたものである。90年(天正18)7月、北条氏滅亡後に北条氏直(うじなお)が高野山(こうやさん)高室院に納めた原本は伝わらず、数本の写本が伝来している。北条氏の分国支配を知る基本の書として貴重で、当時の郷村名、検地の施行状況、扶持給(ふちきゅう)の高などを知ることができる。
[下山治久]
『杉山博校訂『小田原衆所領役帳』(1969・近藤出版社)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の小田原衆所領役帳の言及
【伊豆国】より
…棟別銭の賦課単位である1間の基準は現在不明であるが,伊豆国の棟別銭の総額はこれにより推定可能である。《[小田原衆所領役帳]》の職人分布をみると,伊豆の職人衆15人,三島は唐紙藤兵衛・円教斎・銀師八木・紙漉4人,奈古屋に大鋸引・切革・青貝師・江間藤左衛門・つか左右師孫四郎・石切・鍛冶,多田に金工・くみひも師4人の棟梁がいる。四日町,三嶋明神前には市が立って繁栄した。…
【武蔵国】より
…
[後北条氏の支配]
1486年(文明18)太田道灌が主君上杉定正に殺されるとまもなく,95年(明応4)に北条早雲は小田原城をおとし,[古河(こが)公方]や両上杉の争いに乗じながら関東経営に着手し,孫氏康のとき,1546年(天文15)の川越夜戦を契機に[後北条氏]による武蔵支配が確立された。氏康は55年(弘治1)〈武蔵卯ノ検地〉を行い,59年(永禄2)に家臣団の所領,所役を調査,認定して《[小田原衆所領役帳]》を作成した。ここには八王子,鉢形など支城主配下の分はないが,[貫高]制をとった北条氏の支配体系の概要はこの役帳により推察できる。…
※「小田原衆所領役帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」