鳥類が卵を孵化(ふか)させるために巣につこうとする性質をいう。カッコウやホトトギスなど托卵(たくらん)習性をもつ種や、ツカツクリのように落ち葉の発酵熱で卵を孵化させる種を除き、抱卵をする野生の鳥類は、繁殖期にはすべてこの性質が現れる。しかし、ニワトリ(白色レグホン)などのように、人間が採卵用に家禽(かきん)化した鳥では、その過程でこの性質が失われてしまっている。ニワトリの研究から、就巣性には2対の補足遺伝子が関与し、伴性遺伝子が関連している可能性も考えられている。就巣性の発現には温度や明るさなどの環境条件が重要であり、また産卵が続いて巣内に一定数の卵がたまるという刺激が、直接の解発因として働いている。ただし、この用語が離巣性雛(ひな)の反意語として就巣性雛のように使われる場合には、孵化後、ある期間を巣の中にとどまり親の給餌(きゅうじ)を受けることをさす。
[山岸 哲]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報