尿素SCRシステム(FLENDS)

日本の自動車技術240選 の解説

尿素SCRシステム(FLENDS)

当時、尿素SCR技術は火力発電所における脱硝装置等、定値設備での使用はあるもの、凍結結晶、析出等の取扱いにくい尿素水の物性から自動車へ実用化例は無かった。高圧燃料噴射にてエンジンの『PM低減』『燃費改善』を図り、トレードオフで増加した『NOx』を尿素SCRで除去する手法がエンジンの効率を最大限に発揮できると判断し日産ディーゼルは自動車用尿素SCRシステムの開発に着手。高圧燃料噴射と尿素SCRを組合せた技術FLENDS(Final Low Emission New Diesel Sytem)を世界に先駆け2004年に実用化に成功した。これにより、燃費を新短期規制車比10%向上させつつ新長期(平成17年)排出ガス規制へ適合した新型車両Quon(久遠)を規制施行1年前に発売、地球環境改善に貢献した。FLENDSは、尿素水添加装置、SCR触媒、解凍保温装置付尿素水タンク・配管、尿素水品質センサ、尿素水位センサ等、構成部品それぞれにも世界初の技術満載であり、2005年自動車技術会技術開発賞を受賞した。保管場所日産ディーゼル工業
製作(製造)年2004
製作者(社)日産ディーゼル工業㈱
会社名/製作者(社)日産ディーゼル工業㈱
愛称FLENDS
技術用途排気ガス浄化
実物所在国内
製作年2004
開発完了年2004
協力Bosch㈱、日本デルファイ・オートモティブ・システムズ㈱、東京濾器㈱、三井金属鉱業㈱、日本特殊陶業㈱、ニッタ・ムアー
搭載車種トラック・トラクター・バス
エンジンディーゼル
エミッションコントロールシステム(含触媒)尿素選択還元型触媒システム(SCR);排気ガス再循環装置(EGRクーラー付き);クローズド式ブローバイ・ガス還元装置;電子式高圧燃料噴射装置(ユニットインジェクター、コモンレール)
効果NOx,PM,CO,HC,黒煙
エピソード・話題性自動車用SCRの普及にはAdBlueを供給するためのインフラ整備が欠かせない重要課題であったが、石油業界、化学業界の協力を得て2005年9月には日本全国1,300箇所の供給ステーション設置できた。
特徴200MPaの高圧で噴射圧力のコントロールが可能な高圧燃料噴射による燃焼改善と、世界発の自動車用尿素選択還元型触媒システムよるNOxの除去。
参考文献・日産ディーゼル技報(第65号)・アロマティックスVol.59新年号・(社)自動車技術会会誌(Vol.59 No.4,No.2、Vol.58 No.12)

出典 社団法人自動車技術会日本の自動車技術240選について 情報

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