製鉄や鉄鋼製品製造に際して生じた各種の鉄くず,および破損や使い古しによって生じた鉄鋼製品の廃物。一般にスクラップと呼ばれ,転炉,電気炉,平炉による製鋼原料として再利用され,これらの装入主原料のうち各5~20%,約100%,20~60%を占めている。鉄の種類により銑くずと鋼くずに大別され,また供給源によって次のように分類される。(1)製鉄所自身から発生する自家発生くず。不良鋼塊,残塊,圧延の際に発生するくずなどであり,従来は粗鋼生産量の20~30%に達したが,連続鋳造比率の向上により,日本では1980年代に入ると約10%に減少している。原則として自工場内で使用される。(2)鉄鋼を素材とする加工産業工場から発生する加工くず。(3)一般市場から発生する老廃くず。この供給量はその国の過去における鉄鋼の蓄積量によって決定される。日本では国内くずの発生が少なく,戦前から多量の屑鉄を主としてアメリカから輸入してきたが,1973年以降輸入くずは急速に減少している。鉄鋼の増産期には屑鉄が不足し,価格も上昇するなど,銑鉄に比べ価格は不安定である。
執筆者:宮下 芳雄
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…コークスの節約,人工的な製造などが重要な課題である。
[屑鉄]
屑鉄は重要な製鋼原料で,平炉および電気炉の主原料でもあり,とくに電気炉の原料はほとんど屑鉄である。日本の製鉄所内で発生する自家発生屑は鋼材生産量の20%前後で,ほとんどが発生した製鉄所で製鋼原料として使用される。…
※「屑鉄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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