展性(読み)テンセイ(その他表記)malleability

デジタル大辞泉 「展性」の意味・読み・例文・類語

てん‐せい【展性】

物質圧力打撃によって、破壊されることなく薄いはくに広げられる性質。金・銀・すずアルミニウムなど、一般に柔らかい金属がこの性質に富む。→延性

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精選版 日本国語大辞典 「展性」の意味・読み・例文・類語

てん‐せい【展性】

  1. 〘 名詞 〙 金・銀・錫・銅・アルミニウムなどの金属物質を打ち伸ばして薄い箔(はく)状におし広げられる性質をいう。一般に軟らかい金属は展性が大きく、硬い金属は小さい。一定方向に細長く引き延ばす場合は延性という。〔哲学字彙(1881)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「展性」の意味・わかりやすい解説

展性
てんせい
malleability

加圧によって破壊することなく、箔(はく)(フォイル)のように平面に広げられる性質。金、スズ、銅、アルミニウムのように金属には展性のよいものが多くある。延性とあわせて展延性ということもある。導電性、伝熱性とともに展延性は金属の特性の一つである。これらはいずれも純度が高くなるほど向上する。その代表例は金で、金箔は1ナノメートル(100万分の1ミリメートル)の厚さまで薄くすることができる。イギリスのE・ラザフォードは、金属を透過しがたいα(アルファ)線(2個の陽子と2個の中性子からなるヘリウム原子核の流れ)をきわめて薄い金箔に照射し、その透過状態を調べて原子模型を確立した。

須藤 一]

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百科事典マイペディア 「展性」の意味・わかりやすい解説

展性【てんせい】

塑性一種。圧力や打撃によって物体が破壊することなく板や箔(はく)に広げられる性質。延性とともに一種の永久変形を起こす性質で,硬度の小さい固体,特に金,銀,スズは展性が大きい。同一物質でも温度湿度により変化

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化学辞典 第2版 「展性」の解説

展性
テンセイ
malleability

打撃または圧延により,破壊することなく平面的に広げられる性質.一般に展性に富む物質には軟らかいものが多い.金,スズ,アルミニウムなどはそれぞれ箔(はく)として広く実用に供されている.

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改訂新版 世界大百科事典 「展性」の意味・わかりやすい解説

展性 (てんせい)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「展性」の意味・わかりやすい解説

展性
てんせい

塑性」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の展性の言及

【延性】より

…一般には,延性とは定量的な言葉ではなく,破壊を生じさせるのに要するひずみの目安である。すなわち,物体が破壊することなく塑性的に変形しうる性質のうち,引張応力による変形に注目したものが延性であり,圧縮応力によって板状,あるいは箔状に広げられる性質に対する言葉として展性malleabilityが用いられる。それゆえ,この両者は塑性変形しうる性質という意味で本質的にはなんら相違はないが,変形様式の違いに注目して使い分けられている。…

※「展性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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