改訂新版 世界大百科事典 「山岳気候」の意味・わかりやすい解説
山岳気候 (さんがくきこう)
mountain climate
標高を主因子とし,これと地形とが組み合わさって生じた山岳地方に特有な気候。ふつう3000~4000m以上は高山気候と呼び,別に扱う。低地に比べて気温,気圧,絶対湿度が低く,日射量は多いが,高さと複雑な地形のために気候の局地差は著しいのが特徴である。とくに温帯地方では日向斜面と日陰斜面で日射量や日照時間,気温,根雪期間などに著しい差が生ずる。降水量や風の状態もわずかの距離で著しく異なるのが一般的である。結局,平地に比較して雲や霧が多く,風が強く,天気の変化が大きいということになる。しかし,気温の月変化や年変化は小さく,紫外線が強く,細塵が少ないために療養地として適した気候でもある。人間の永住限界はだいたい地上気圧の半分(約506hPa)になる,高さにして5500mくらいといわれ,一般に高度3000m以上になると高山病の症状をあらわす。
執筆者:山下 脩二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報