山地気候のうち、とくに高山に現れる特殊な気候。アルプス気候ともいう。通常、森林限界付近から上の気候をさし、温帯地方では普通海抜2000メートル以上に出現する。高度とともに気温と気圧は低下し、日射は強くなる。高緯度地方の寒帯気候に似ているが、日射が弱いために生じるのとは本質的に異なっている。緯度によって温帯高山気候と熱帯高山気候とに区分される。前者はチベット高原、ヨーロッパ・アルプス、アメリカのロッキーなどに分布し、日本でも日本アルプスなどにみられる。後者はボルネオ島、ニューギニア島の高地、東アフリカの山地、エチオピア高原、メキシコ高原、アンデスに分布する。温帯高山気候では気温の年較差が大きく、夏と冬が明瞭(めいりょう)に現れるのに対して、熱帯高山気候では気温の年較差が日較差より小さく、生物の活動にも気温による周期性がない。温帯高山は寒冷で降雪も多く、気候条件はよくないが、熱帯高山では年中冷涼で、人々の生活に適し、集落が発達している。気圧が地上気圧の約半分になる5500メートルが人類の永住限界といわれているが、2000メートル以上になると高山病がみられるようになる。
[山下脩二]
標高をおもな原因とし,これと地形とが合して生じる高山地方に特殊な気候。森林限界付近から上の気候をさし,それ以下を山岳気候と呼ぶが,高山気候を含め,山岳地方の気候を一括して山岳気候ともいう。両者の境は温帯地方で標高2000m前後である。高度とともに気温と気圧は低くなる。山体の気温減率は100mにつき0.4~0.7℃である。一般に気温の日変化や年変化は小さい。水蒸気量の絶対量は少ないが,相対湿度は高い。雲や霧の出現は多く,風速は強いが,細塵は少ない。日射が強く,とくに紫外線を多く含んでいる。この点が日射が弱いため生じる寒帯気候と本質的に異なる。緯度により温帯高山気候と熱帯高山気候に分けられる。前者はチベット高原,アルプス,ロッキーなどに,後者はボルネオ,エチオピア,メキシコ,アンデスなどに分布する。人類の可住限界は5500mといわれ,一般に低地住民が標高3000mぐらい以上に登ると高山病の症状を呈す。
執筆者:山下 脩二
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…標高を主因子とし,これと地形とが組み合わさって生じた山岳地方に特有な気候。ふつう3000~4000m以上は高山気候と呼び,別に扱う。低地に比べて気温,気圧,絶対湿度が低く,日射量は多いが,高さと複雑な地形のために気候の局地差は著しいのが特徴である。…
※「高山気候」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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