山形国際ドキュメンタリー映画祭(読み)やまがたこくさいどきゅめんたりーえいがさい(その他表記)Yamagata International Documentary Film Festival

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

山形国際ドキュメンタリー映画祭
やまがたこくさいどきゅめんたりーえいがさい
Yamagata International Documentary Film Festival
YIDFF

山形市で2年ごとに開催される映画祭。1989年(平成1)から山形市主催で始まったが、2006年(平成18)に映画祭実行委員会がNPO法人として独立し、2011年に第12回を迎えた。大賞などを競うインターナショナル部門と、小川伸介賞などを競うアジア部門のコンペティションがある。第1回の、ペレストロイカ背景に小さな町の住人の姿を描いた『踏切のある通り』(1988)をはじめ、故郷エルサレムと家族の歴史を私的にみつめた『エルサレム断章』(1997)や、時代とともに変貌(へんぼう)する中国社会を描いた『鉄西区(てつせいく)』(2003)などが大賞に輝き、また日本軍によって従軍慰安婦とされた韓国女性の現在の姿を描いた『ナヌムの家』(1995)や、中国の三峡ダム建設で移住させられた一人の農婦を追った『秉愛(ビンアイ)』(2007)などが小川伸介賞を受賞している。そのほか開催ごとに充実した特別プログラムが組まれ、1991年の「日米映画戦」や1997年の「大東亜共栄圏と映画」、2003年の「沖縄特集」など、映画がいかに時代と切り結んできたかを多彩に検証している。東日本大震災が起こった2011年には、震災関連のプログラムを組んで多く観客を集め、同時に被災地への復興支援に取り組んでいる。ドキュメンタリー映画中心としながらも映画の可能性を探求する映画祭の理念は、開催ごとに国内外で高い評価を受け、近年は若い世代から注目を集めている。

[村山匡一郎]

『『山形国際ドキュメンタリー映画祭』公式カタログ(1989・やまがた100周年推進協議会/1991、1993、1995、1997、1999、2001、2003、2005・山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会/2007、2009、2011・特定非営利活動法人山形国際ドキュメンタリー映画祭)』『山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局編『ドキュメンタリー映画は語る 作家インタビューの軌跡』(2006・未來社)』

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デジタル大辞泉プラス の解説

山形国際ドキュメンタリー映画祭

山形県山形市で、隔年で開催される国際映画祭略称はYIDFF。第1回は1989年に、同市の市制100周年を記念して開催された。第10回となる2007年からは、市から独立した映画祭と同名のNPOが主催している。ドキュメンタリーのみを対象とする国際映画祭はアジア初で、国際的な注目も高い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

山形国際ドキュメンタリー映画祭
やまがたこくさいドキュメンタリーえいがさい
Yamagata International Documentary Film Festival

山形市政 100周年記念行事の一環として,1989年から始まった隔年ごとの映画祭。世界から優れた記録映画を集め,コンクール形式で上映。開催地は地方,しかも対象はドキュメンタリーだけという,日本の映画祭としては画期的なものである。

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