日本大百科全書(ニッポニカ) 「岡屋関白記」の意味・わかりやすい解説
岡屋関白記
おかのやかんぱくき
鎌倉時代の摂政(せっしょう)・関白(かんぱく)近衛兼経(このえかねつね)の日記。『岡屋兼経公記』『岡屋殿御記』とも称する。1222(貞応1)、23、24年抄録1巻、46年(寛元4)春夏、および48年(宝治2)12月・閏(うるう)12月の古写本各1巻、49年(建長1)春自筆本1巻、50年夏、同10月、51年秋古写本各1巻、計7巻が陽明文庫に伝存。ほかに近衛房嗣(ふさつぐ)筆写による1225年(嘉禄1)2月中納言(ちゅうなごん)着陣記、「永正(えいしょう)八年(1511)書写」奥書を有する1232年(貞永1)10月、12月御譲位并(ならびに)御即位記もともに伝わる。また、房嗣筆の抜書によれば1225年(嘉禄1)より28年(安貞2)までの計4巻の日記の存在がうかがえる。鎌倉中期の公家(くげ)日記として貴重な存在である。
[名和 修]