改訂新版 世界大百科事典 「崇明島」の意味・わかりやすい解説
崇明島 (すうめいとう)
Chóng míng dǎo
中国,長江(揚子江)の河口にある島。行政的には上海市崇明県を形成する。長江のもたらす泥土が沈積してできたもので,面積1083km2,中国の島では第3位の大きさ。唐代初めに西沙,東沙の二つの島が出現し,五代には西沙に鎮が置かれ,農漁業の開発がすすめられた。その後河流や潮流の変化とともに砂州の消滅や生成がくりかえされ,人為的な開発とともに島の面積は広がったが,自然環境は不安定であった。元代に州が置かれ,明には県となったが,県治は5度も変遷している。砂地であるため綿花の栽培に適し,島内で紡績業も栄えたほか塩業も盛んで,宋代には天賜塩場が設けられた。なお明・清時代には,他の江南地方の農村と同じく田地の二重所有制(一田両主制)が存在し,それが近代になっても残っていてよく研究されている。地理的位置から倭寇の攻撃を受けやすく,とくに明代の嘉靖年間(1522-66)には知県(県知事)の唐一嶺が戦死するほどで,それを記念する唐公祠は文化遺跡となっている。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報